2014年9月8日月曜日

My Recommendations No.16 「図解漢方処方のトリセツ」

HBS臨床薬剤学分野准教授の川添和義先生が、今月発刊されたばかりの自著「図解漢方処方のトリセツ」(川添和義 / じほう)をご寄贈くださり、紹介文を添えてくださりました。
川添先生、ありがとうございました。

さっそくご紹介します。

 漢方薬は現在9割以上の医師が処方経験を持っています。ただ,その使い方は添付文書を見るだけではよくわからないことが多く,薬剤師は服薬指導をする上で困ることが多いのです。時には間違った服薬指導で服薬アドヒアランスの低下を来したりします。これは,医師の処方意図が添付文書の効能・効果に圧縮され,必要な情報が十分に伝わらないからです。だから,薬剤師は漢方薬の添付文書には書かれていない「隠された」処方意図を読み取る必要があります。これには,まず処方の構造を知る必要があります。漢方薬は生薬からできているものですから,その生薬の働きを知ることは処方の働きを知ることにつながるわけです。
 薬学部では必ず『生薬学』を学びますが,その生薬を鍵として添付文書の「読み方」を知る「取扱説明書(トリセツ)」として作りました。生薬を「温」「冷」「補」「動」の4つの働きにまとめ,処方の中でどのような働きを演じているのかを病気の進行に沿ってわかりやすく図で示しています。薬学部の学生さんには,生薬を化学物質の集まりとしてではなく「薬」として知っていただくためにも役立つことと思います。医療系学生の漢方学習入門書としてはもちろん,現場の薬剤師の皆さんにも実用書として利用いただけるよう,既存の医療用漢方148処方すべてについてメーカー間での違いや服薬指導のポイントなどを紹介しています。

1階ロビーに展示中ですので、ぜひご覧ください。