昨日、7月13日(月)は、徳島市立図書館の移動図書館「いずみ号」の巡回日でした。
是非、ご利用ください。
T.K.
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昨日、7月13日(月)は、徳島市立図書館の移動図書館「いずみ号」の巡回日でした。
徳島大学名誉教授 吉本先生より、My Recommendationsコーナーに下記の図書をおすすめいただきました。
吉本先生、ありがとうございます。
明治・大正・昭和の細菌学者たち―北里柴三郎から藤野恒三郎まで
竹田美文 著 大阪大学出版会 (2025/12/5)
それでは、お寄せいただいた書評をご紹介します。
徳島県立脇町高校の先輩である竹田美文・国立感染症研究所・元所長が、我が国の細菌学者の業績をわかりやすく紹介している。
北里柴三郎(第1章)や野口英世(第4章)の業績は良く知られている。
志賀潔(第2章)は腸チフスのヴィダール反応を参考にして赤痢の原因菌を発見した。赤痢菌の属名Shigellaは志賀に由来し、日本人の名前がついている唯一の例だ。著者は小学2年時に赤痢で避病舎に隔離されたという。秦佐八郎(第3章)は、志賀も留学歴があるエールリッヒのもとで、最初の化学療法薬である梅毒治療薬(砒素剤606号)を開発した。
長與又郎(第5章)は、河水の氾濫する地域に流行する「つつが虫病」の病原体としてオリエンティア・ツツガムシ(現在名)を発見した。実験室感染死が10名に至ったという。稲田龍吉・井戸康(第6章)は発熱・黄疸・出血を伴う死亡率の高い風土病から新種のスピロヘータであるワイル病の病原体(野口英世が属名レプトスピラと提唱)を見出した。耳鼻咽喉科・外科を専門とする大原八郎(第7章)は妻に感染実験を行い、野兎との接触によって起こる野兎病の病原体を発見した。開業医である馬原文彦(阿南市)による日本紅斑熱の発見もコラムに記されている。著者の指導者だった藤野恒三郎(第8章)はシラス中毒事件の原因解明において腸炎ビブリオ(現在の和名)を分離したが、国際的に認知されたのは23年後だったという。
感染症の学習において、新規病原体発見の逸話を知ることにより理解が深まること間違いない。
本日(7/10)より、蔵本分館1階ホール、My Recommendationsコーナーに展示する予定です。ぜひ手に取ってご覧ください。
T.K
大山陽介先生(附属図書館長・理工学部数理科学コース教授)より、
My Recommendationsコーナーに下記の図書をおすすめいただきました。
大山先生、ありがとうございます。
タイトルとともに、お寄せいただいた書評をご紹介します。
(No.200)銀河の片隅で科学夜話
全卓樹 朝日出版社 (2020/02/19)
高知工科大学で図書館長を務められておられる全卓樹さんは、どこか戦友のように感じられる(お会いしたことはないけど接点はあった)。
この本では、数式を全く使うことなく、宇宙や生物学やGoogleのページランクの話など科学のさまざまなトピックを横断してゆっくりと散策しています。時代もベクレルの昔の話もあればインターネットのレビューによる「多数決」の危険性まで様々な時系列で緩やかな流れで語られています。
数式を全く使わない科学解説で面白いところまで書くのは難しいのですが、現代的に成功させた一冊です。
(No.201)数学のまなび方
彌永昌吉 ちくま学芸文庫 (2008/11/10)
私は「〇〇のまなび方」「〇〇の書き方」という本が嫌いである。学び方は人それぞれで共感できた試しがない。偉い学者の学び方など凡人の私に参考にならないのである。
では、なぜこの本を薦めるかというと、この本の一節
『数学者の吉田(耕作)さんは,"われわれにわかりよいように…抽象的に願います"
といわれました.森口(繁一)さんは"これはたいへんおもしろい。会社の人たちの
集まるときには,われわれにわかりよいように…具体的に,といわれるのですが"』
という箇所が、数学のまなび方ではないけれど、数学者の考え方をよく示しているから。
そこだけでも手に取って読んでみてください。この本は数学と関係ない、こうした与太話が楽しめる本です。
(No.202)数学の言葉で世界を見たら
大栗博司 幻冬舎 (2025/03/26)
著名な物理学者である大栗博司さんが「娘に贈る数学」と著した科学解説です。
初学者向けに数学の解説をすると、素数とか幾何やトポロジーの話がどうしても多くなり、本書でも素数の話は扱っているが、物理学者の視点からか一味違う切り口になっている。こうした解説では珍しく微積分についても少し触れている。
大栗さんは大学で私の1年先輩であって学生時代から交遊がある。その頃も今も、大栗さんは数学者の私よりも数学がずっとできて、いつもわかりやすくキレの良い話をされます。少し数式が出てくるところもあって大変なのですが、わかる章だけでも読んでみてください。
昨日、6月16日(火)は、徳島市立図書館の移動図書館「いずみ号」の巡回日でした。
徳島大学名誉教授 吉本先生より、My Recommendationsコーナーに下記の図書をおすすめいただきました。
吉本先生、ありがとうございます。
整形外科 : 生活の質を支える
田中栄編 岩波書店 (2026/4/21)
それでは、お寄せいただいた書評をご紹介します。
我が国の整形外科の黎明期である120年前は、先天性内反足や先天性股関節脱臼などの小児の疾患が多くを占めたが、近年は、骨粗鬆症による骨折や変形性膝関節症などの高齢者の疾患が急増している。
最近は、ナビゲーションシステムの導入や手術道具の精密さ及び人工関節の耐久性の向上とともに、関節リウマチや骨粗鬆症などの薬物療法の進歩が著しいのが特徴だ。学生時代の教科書である「小整形外科書 改訂第6版 綾仁冨彌著 金芳堂 1977年」においては、骨粗鬆症治療には蛋白同化ホルモン剤や栄養補給を、関節リウマチ治療には非ステロイド性抗炎症鎮痛剤、副腎皮質ステロイド剤、金製剤、D・ペニシラミンと記載されており、現在では大きく様変わりしている。
本書により、世界で最初の母指完全切断による再接着の成功例や進行性扁平足、脆弱性骨折ドミノ、がんロコモなどの概念などの知見が広がった。それぞれの専門家が、わかりやすく説明しているので理解しやすい。一読をお勧めする。
徳島大学医学部臨床教授・美波病院院長 本田壮一先生より、My Recommendationsコーナーに下記の図書をおすすめいただきました。
本田先生、ありがとうございます。
三十一文字のドラマ : 和歌に生きた人たち
谷知子著 淡交社(2026/1)
それでは、お寄せいただいた書評をご紹介します。
版を重ねている角川ソフィア文庫「百人一首(全)ビギナーズ・クラシックス 日本の古典」(2010年)の著者、谷知子教授(フェリス女学院大学)1の近刊を紹介する。谷さんは、名西郡神山町のご出身。お世話になっている谷憲治院長(東洋病院)の妹さんで交流がある。
私どもは、第58回全国国保地域医療学会(沖津修 学会長。学会のテーマは、「地域包括ケアで日本の未来を切りひらこう~海・山・川の恵みの阿波の国での実践~」。)を、徳島市で開催した(2018年10月)。そのときの特別講演に、谷さんに「古典のすすめ、そして阿波の国」の題目でお願いし、好評を博した2。ご専門の中世和歌を中心に、「病」・「老い」・「死」の人生観や美意識を解説いただいた。
短歌・俳句は日本独自の文化である。五七五七七の音律の歌を、古今和歌集の頃から「和歌」と呼び、現代は「短歌」と呼ばれることが多い。本書では、古事記の「あなにやし、えをとめを(まあ、なんていい女だろう)」から、坂本竜馬の「世の人はわれをなにとも言はば言へわがなすことはわれのみぞ知る」まで、20の歌人(グループも)の和歌と現代語訳、そしてわかりやすい時代背景を含めた解説がなされている。百人一首で有名な持統天皇や、柿本人麻呂、大伴家持、小野小町、在原業平、菅原道真、紀貫之、和泉式部、紫式部、藤原俊成、西行、藤原定家、源実朝、後鳥羽院などの「推し」の和歌やその歴史背景も興味深く読める。一方、京都の葵祭につながる斎院だった式子内親王や、永福門院、後水尾天皇の和歌も学べた。さらに、良寛(江戸時代後期の僧侶)や、幕末の志士(佐久間象山や吉田松陰、龍馬)の章からは、往時は和歌が必須の教養だったと理解した。
私どもの医学部の学生時代(1977年から83年)は、1・2年は教養部(常三島キャンパス)にて、語学(英語・ドイツ語)や日本文学、歴史などを学ぶ機会があった。現在は、専門教育で学ぶことが増え、大学入学後に日本文学や外国文学に親しむ時期がないのを憂う。臨床現場で患者さんと語るときや、自分の将来を考えるときに文学の素養は、とても役立つ。平易な解説や現代語訳は読みやすく、千年を越える日本の和歌の入門書として本書を推薦したい。
【参考URL、図書】
1 谷知子(フェリス女学院大学)
⇒https://www.ferris.ac.jp/academics/teachers/japanese-literature07.html
2 谷知子:古典のすすめ , 角川選書 , 2017昨日、5月19日(火)は、徳島市立図書館の移動図書館「いずみ号」の巡回日でした。