2016年10月31日月曜日

「診療ガイドライン利用者のためのGRADEワークショップ」を開催しました

今月号の附属図書館メールマガジン「すだち」でもご報告しましたとおり、蔵本分館では8月28日(日)に、徳島県地域医療支援センター主催、徳島大学附属図書館(蔵本分館)共催のワークショップ「診療ガイドライン利用者のためのGRADEワークショップ」を開催しました。

学内外から16名の方にご参加いただきました。
ありがとうございました。

多数の診療ガイドライン作成に関わっておられる、南郷 栄秀先生(東京北医療センター総合診療科医長)を講師にお招きし、診療ガイドラインの作成に用いられるGRADE system と評価に用いられるAGREEⅡという2つの国際的な基準について実習を交えてご講義いただきました。

講義

グループワーク
発表・質疑応答

アンケートでは新たに得られたこととして

「アウトカムを中心とした診療ガイドラインの使い方」
「診療ガイドラインの臨床への応用方法」
「患者中心の医療とは何か、ということ」

などが挙げられました。

ワークショップに参加したことで、EBMの実践において重要な役割を果たす診療ガイドラインの内容を正しく把握し、推奨内容を目の前の患者にどのように適用するかについて理解が深まったようです。

今後もこのようなワークショップを実施することにより、地域医療を担う医師及び医療関係者等の質の向上を支援していきたいと思います。

(KY)

新着図書のご案内



ついに,教員選書図書コーナーの本がそろいました。
本が届いてからも,本の番号を取ったり,バーコードや請求記号の背ラベルを貼りつけたりの作業がたくさんあって,お待たせしました。

図書館2階のエレベータ横,マルチメディアルームの前に写真のように,配架しています。規模が大きくなって目立っていますので,わかりやすいと思います。
2階にいかれたら,ぜひご覧いただき,どんどん借りてください。



教員選書の新着図書のリストはこちらです。


あわせて1Fの新着図書コーナーにも本が増えましたので,お知らせしますね。



その他の新着図書のリストはこちらです。

図書館では,教職員の選書だけでなく,学生からのリクエストにもお答えしています。
また,ブックハンティング(11/9から開催)でもご希望の本を購入していますので,ぜひご活用ください。
 


T

2016年10月28日金曜日

裏紙活用!学内ワークスタディスタッフ作「計算用紙箱」

 蔵本分館では,2名の学内ワークスタディスタッフが働いています。

学内ワークスタディとは,徳島大学の学生が,学内の部署で働きながら奨学金を得る制度です。

こまごまと色んなこと仕事をしていただいているのですが,今回は,学生のみなさんに使っていただくための「計算用紙」を用意してもらいました。

かわいくできたので,ブログデビューもしていただこうと思い,文章と写真をお願いしましたので,掲載します。

みなさん,ご活用くださいね!



 みなさんから「裏紙がほしい」という多くのご要望をいただいたので、ワークスタディが裏紙をたくさん作成しました。
カウンターに置いてありますので、計算用紙やメモ書き用に、ご自由にご利用ください。
また、裏紙をコピー機に入れると詰まる恐れがあるので、コピー機には入れないでくださいね。

1階は,ラーニング・コモンズ西出口近くにあります。
















2階は中央閲覧室の低い書架の上に置きました。
























(sasa)

2016年10月27日木曜日

蔵本地区ブックハンティング 第二弾を開催します!:蔵本生協しょこら



ブックハンティングとは,図書館に置いて欲しい本をあなたが書店で選ぶイベントです。

予約やめんどうな手続きもありません。
選んでいただいた本を図書館が購入します。
図書館に並んだら,優先的に読めるよう,お知らせいたします。
図書館にあればいいなと思っていた本,実習や講義に必要だった本,レポートや論文作成で参考にしたかった本などなど,お店に並んでる本をどれでも選んでいただけます。
今回は蔵本生協しょこらで開催します。


■日時・場所 
 平成28年11月9日(水)~15日(火)の平日12:00~13:00,16:00~17:00
 蔵本生協しょこら

■対象者
 蔵本地区の学部学生または大学院生 
※事前の申込は必要ありません。人数制限もありませんので,お誘いあわせのうえ都合のよい日にお越しください。

■参加方法
①開催期間中,生協書籍コーナー内にブックハンティング用の受付を設置しますので,お申し込みください。
②1人5冊まで本を選び,設置したワゴンの上に載せてください。
※図書館で所蔵のチェック及び購入,貸出準備等が完了次第利用できるようになります。


参考までに,昨年の様子はこちら↓↓↓です。
2015年11月16日  ブックハンティングが始まりました:蔵本生協しょこら
2015年11月20日  ブックハンティングが終了しました:蔵本生協しょこら
2015年12月22日  ブックハンティングの図書が入荷しました


さて,26日の新着図書のご案内につけた図書館の謎は,いかがでしたか?
ちょっと回りくどいヒントをつけてしまいましたが, B から時計まわりに二文字ずつ飛ばして読んでみてください。
B→→→O→→→O→→→K→→→H→→→U→→→N→→→T→→→I→→→N→→→G
はい,ブックハンティングです。

たくさんの方の参加をお待ちしています。

T


2016年10月26日水曜日

My Recommendations No.87,88,89「天才の栄光と挫折 : 数学者列伝」,「100年の難問はなぜ解けたのか : 天才数学者の光と影」,「縮む世界でどう生き延びるか?」

口腔顎顔面補綴学分野教授,市川哲雄先生が,My Recommendationsコーナーに図書を3冊おすすめくださいました。
市川先生,ありがとうございます。

まずは1冊目から,書評と併せて順にご紹介します。

My Recommendations No.87
『天才の栄光と挫折 : 数学者列伝』
(藤原正彦 / 新潮社)
 
著者の藤原正彦は「国家の品格」、「若き数学者のアメリカ」などのベストセラーを出した作家でもあり、元々はお茶の水女子大学教授の数学者である。藤原正彦は、徳島にも縁があり、作家である父新田次郎の絶筆になった未完の小説『孤愁 サウダーデ』はモラエスを描いたものであった。彼は、父の遺作を完成させるために徳島に訪れ、取材をし、そして完成している。
その彼が、数学の分野の9人の天才、ニュートン、関孝和、ガロワ、ハミルトン、コワレフスカヤ、ラマヌジャン、チューリング、ワイル、ワイルズについて書いた短い伝記本である。数学フェチの私にとってなじみのある天才たちだが、多くの人にはこの本で初めて知る人も多いかもしれない。ただ著者自身が数学者であること、著者自身が現地に足を運び、天才たちの生き方を調べているため、生物系とはひと味違った数学の天才たちを非常に身近に感じることができる本である。
個人的には、エヴァリスト・ガロワとアンドリュー・ワイルズの名前は是非とも覚えていただきたい。エヴァリスト・ガロワはその決闘前夜に書き残した群論に関する論文が死後数十年経ってやっとその価値が理解された20歳で死んだ悲劇の数学者である。私が若いときに、2次方程式の解は、3次方程式の解はと、興味本位で調べていたときに出会った数学者である。
アンドリュー・ワイルズは、350年に渡る難問フェルマーの最終予想を劇的に解決した人である。この解決には日本人数学者が深く関わっているおり、この本の20ページ足らずの文章でも非常に感動的な内容となっている。興味を持った方はこのフェルマーの最終予想の解決に至ることを歴史的にかつ非常に感動的に描かれたサイモン・シンの『フェルマーの最終定理』という本を是非とも読んでいただきたいと思っている。全く関係ないと思われる2つの現象は,実はある共通の論理で動いていることを見いだすところの文章のくだりは、生物学を志す人にとっても必読である。


書評中にある,サイモン・シンの『フェルマーの最終定理』は本館2階東閲覧室に所蔵しています。11月には蔵本文芸コーナーに並ぶ予定ですので,こちらもぜひご利用くださいね。
それまで待ちきれない!という方はカウンターにお問い合わせください。2、3日で分館に取寄せることができますよ。

では次に,2冊目をご紹介します。

My Recommendations No.88
『100年の難問はなぜ解けたのか : 天才数学者の光と影』
(春日真人 / 日本放送出版協会)

宇宙は有限か無限かにも関係する数学の難問「ポアンカレ予想」がロシア人数学者ペレリマンによって2006年に解かれた。100年もの間、幾多の数学者が挑み、挫折、人生を狂わせた難問でもあるという。そして解決したペレリマンは「数学界のノーベル賞」と言われるフィールズ賞を拒否。少しでもインパクトファクターの高いジャーナルにと神経をすり減らしている我々の世界からはほとんど考えられないような行動。しかも、その解き方が、全く別の分野の論理を使って説かれたというのも興味深い。
物事のブレイクスルーは予期せぬところにある。非常にドラマチックな展開を遂げたこの難問をとりあげたNHKスペシャルの番組を元に書かれた本である。

こちらも世紀の難問に挑んだ天才数学者のお話です。ドキュメンタリー番組を元にして書かれていて,まるでドラマを見ているような感覚で読めそうです。手に取ってご覧くださいね。

そして3冊目はこちら。

My Recommendations No.89
『縮む世界でどう生き延びるか?』
(長谷川英祐 / メディアファクトリー)

アリは働き者といわれながら、その7割は働かない、1割は一生働かないという衝撃的な本「働かないアリに意義がある」で有名になった進化生物学者の長谷川英祐先生の2弾である。
超高齢時代、人口減少、大学予算の削減と縮小の話ばかりで、教職員はその対策に追われている毎日である。生物の世界の観察から「個体の利益を犠牲にする組織は原理的に存続不可能」、縮む世界では「小規模」「小さな利益を大切に」,「利益は個の耐久性に使うが大事」など、なぜか胸のすくような指摘の連続。人の行動もやはり生物だということを改めて感じる本である。

長谷川英祐著『働かないアリに意義がある』,こちらも気になりますよね。この本も本館で所蔵しています。11月の蔵本文芸コーナーに取寄せ予定ですので,併せて読んでみてはいかがでしょうか。

3冊とも本日より蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しています。
皆さんのご利用,お待ちしています!


sm

新着図書のご案内

大学祭の準備,すすんでますか。
学術的な企画の際は,図書館を利用して,解説をさらに深めてみてください。

さて,蔵本地区の教員選書のコーナーに新着図書が入荷しました。
写真のように配架しています。



また,たくさん増えましたよ。そして,まだ!増える予定です。
置ききれるか不安になってきました。

みなさんに借りていただくことで,スペースも確保できますので,遠慮なくどんどん利用してください。
図書館2階のエレベータ横,マルチメディアルームの前です。

新着図書のリストはこちらです。

さて,秋のイベントは大学祭だけではありません。
というわけで,予定している企画を謎にしてお知らせします。




わかってもらいたいのでついついヒントを付けてしまいました。
解答と詳細は,後日ブログでお伝えしますので,おたのしみに。
ではまた。

T

2016年10月25日火曜日

ご意見箱への回答(トイレの手洗い場)

<ご意見>
2Fの男子トイレ,入口からみて一番奥の自働の蛇口ですが,センサーが悪くなっているのか水が出てきません。直していただきたいです。
(10月23日)


<回答>
ご連絡ありがとうございます。
今朝,誰もいないうちにこっそり状況を確認してきました。

センサー部分が汚れていて反応が悪くなるケースがあるので,試しにセンサー部分を拭いてみたところ,水が出るようになりました。

行き届かず,ご不便をおかけしました。

他は大丈夫だと思うのですが,また不具合があるようでしたらお知らせください。
普段,男子トイレは使わないので,報告いただくと助かります。
よろしくお願いします!

(sasa)

2016年10月24日月曜日

インドネシアからの留学生に図書館ツアー

今年も,歯学部の短期留学生4人をお迎えして図書館ツアーを行いました。

過去のツアーの様子はこちら

英語でツアーをしなくてはならないのですが,相変わらず苦手なので,歯学部の事務職員の方にヘルプをお願いして,ツアー開始です。

聞くと,留学生の皆さんは学生証が発行されておらず,期間も3週間,とのことなので,貸出手続きなどの細かいことは説明せず,館内の施設,資料を中心にご紹介しました。

1階のラーニング・コモンズ,My Recommendation,テーマ展示など,当館の特色のあるサービスについて説明していきます。



 現在のテーマ展示は
「女性のがん 乳がん」です。

 黒板に書かれているピンクリボンのマークをみて,「このシンボルがあるからよくわかります」と言ってくれました。



英語の新聞は1紙だけ,あとは

Japanese,
Japanese,
Japanese !

 という苦笑い。




電動の集密書庫に興味津々。
使い方について,細かく尋ねられました。
















このほか,どんな分野の資料があるのか,英語の資料はどのくらいあるのか,背表紙が英語の本は中身は全部英語なのか,など本について質問があり,実際に本を手に取ってみてもらったりしました。

今回の留学生の方の中にはかなり日本語が上手な方がいて,合間合間で助けてもらいました。
また,別の方からは日本のコミックが好きです,「なかよし」って知ってますか?というような話題もあったりして,終始,なごやかなツアーとなりました。

最後に「質問は?」とお尋ねしたところ,「質問はありません。たくさんの本があり,施設もよくて良い環境が整えられていると思います」と(英語で)感想をいただきました。

短い期間ですが,図書館も活用していただき,実り多い留学となりますよう,お祈りしています。

(sasa)

2016年10月21日金曜日

My Recommendations No.84,85,86「戦争まで : 歴史を決めた交渉と日本の失敗」,「それでも、日本人は「戦争」を選んだ」,「君たちが知っておくべきこと : 未来のエリートとの対話」

附属図書館長,吉本勝彦先生(分子薬理学分野教授)より,My Recommendationsコーナーに下記図書3冊をおすすめいただきました。 吉本先生いつもありがとうございます。

My Recommendations No.84,85
『戦争まで : 歴史を決めた交渉と日本の失敗』
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
(加藤陽子 / 朝日出版社)

My Recommendations No.86
『君たちが知っておくべきこと : 未来のエリートとの対話』
(佐藤優 / 新潮社)

書評をお寄せいただいておりますので,早速ご紹介します。

 『戦争まで : 歴史を決めた交渉と日本の失敗』

世界各地で戦争、内戦が行われ、テロ事件も頻回に認められる。学生の皆さんは戦争に対してどのようなイメージを持っているのであろうか、戦争はどうして起きたのか考えた事はあるだろうか。私自身は、経済白書の結びで「もはや戦後ではない」と記述された1956年の前年の生まれである。ただ、1926年生まれの父親から、軍隊生活の厳しさについてよく聞かされた。また、小学生の頃には日中戦争を場としたテレビ映画がしばしば放映されていた。このため、小・中・高校生時は「戦争は非常に怖いもの」という印象しかなかった。

本書は東京大学文学部の加藤陽子教授が、公募された高校生などを対象とした6回における講義をまとめたもので、歴史を知ることの意味を伝えている。1931年のリットン報告書、1940年の日独伊三国軍事同盟条約締結における国内の合意形成の過程、1941年の日米交渉における両国の思惑という、3つの「世界が日本に、『どちらを選ぶのか』と真剣に問いかけてきた交渉事」を取り上げ、我が国が「世界の道」との斬り結びに3回とも失敗したことが史料をもとに具体的に検証されている。このようにして、私たちがこれまで信じて疑わなかった歴史上の「通説」や「俗説」が次々と打破されているのがわかる。

1. 満州事変に対する中国からの訴えをもとに国際連盟が設けたリットン調査団による報告書が、「我が国にとって極めて厳しい内容であった」という当時の新聞報道について、実際には「事変前の中国側の排日ボイコットにも問題がある」ことを指摘したものだと著者は述べている。リットンは日本側に配慮した解決条件を提示していたのだ。しかし、国民の目の前に提示された選択肢は「確実に、満州国は取り消される」という偽の確実性を前面に出したものであった。


2. わずか20日間で結ばれた三国軍事同盟条約については、ドイツとの交渉や国内での合意形成過程に焦点をあてている。軍の首脳は慎重派だったが、意思決定は外務省・陸軍省や海軍省の課長級・佐官級の協議で行なわれ、ドイツの勝利を前提に、その分け前がもっぱら話し合われた。それがオランダ領インドネシア、イギリス領マレー、フランス領インドシナ(仏印)だった。すなわち、建て前はアメリカを有効に牽制する同盟であったが、実際は戦勝国ドイツを牽制するための対ドイツ同盟だったのである。「白人の植民地支配からアジアを解放する」というスローガンは、後からつけられたものであった。

3. 最終的に開戦をもたらしたのは、1941年7月に南部仏印に進駐しても「アメリカは石油を全面禁輸としない」との目算が狂ったことや、1941年4月から11月までの交渉における「日米首脳会談」の検討結果である。「日本側が南部仏印から撤兵し、仏印の物資を公平に分配できる方法があればその努力を惜しまない」とのローズヴェルト大統領からの提案があった。この動きを受け、近衛首相が大統領に首脳会談を呼びかけ、開戦に積極的でなかった大統領からも同意が得られていたが、民間きってのアメリカ通である野村大使の不注意で漏れ、首脳会談は幻となった。また、開戦直前の12月6日午後9時に大統領は昭和天皇に、今一度交渉を呼びかけるメッセージの電報を出した。ところが陸軍はこの電報を東京の中央郵便局で15時間留め置くよう指示し、東京のアメリカ大使館に届く時間を引き延ばしたのだ。

この講義の目的は「現在においても将来においても、交渉が必要となった時、よりよき選択ができるよう、相手方の主張、それに対する自らの主張を掛け値なしにやりとりできるように究極の問題を挙げシミュレーションしようとしたことにある」という。著者の種々の質問に対する高校生からの回答や質問からは、参加している高校生の問題意識の高さに驚かされる。また「戦争まで」の失敗例について種々の角度から当時の世界史の中の日本政治経済史がたどられていることから、高校生ならずとも、学生や教職員にとっても冷静に物事を見る目を養うべき点が多いことに気づかされる。 本書は講義形式でわかりやすく近現代史を学べる点からも薦める。

『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
は、神奈川県の栄光学園の歴史研究部の中高生を対象とした加藤陽子教授の集中授業をまとめたものである。

日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変・日中戦争、太平洋戦争などの「戦争」を、なぜ日本の指導者層は選択したのかを説いている。満州事変・日中戦争に関しては、中国が日本との戦争に最終的に勝つためには、「最初の2、3年間日本に負け続けることで、米ソを不可避的に日本と中国の紛争に介入させ、最終的に勝利できる」と主張した駐米大使の胡適の「日本切腹・中国介錯論(日本の切腹を中国が介錯(切腹する人の後ろに立って作法のとおりに腹を切ったその人の首を切りおとす)する)」などは、このような先を見越した考え方をもっていたのかと驚かされる。
日本側の知られざる海軍軍人についても紹介している。水野廣徳は「主要輸出品目が生活必需品でない生糸である点で、日本は致命的な弱点を負っている。よって日本は武力戦に勝てても、持久戦、経済戦には絶対勝てない」と主張したが、この議論は弾圧されたことを解説している。一般には知られていないことが盛り沢山である。このような観点から、ベストセラーとなり、小林秀雄賞を受賞したのも納得できる。

「理科系に行った人は、世界史・日本史はもとより地理とか倫理、哲学もきちんと理解しておく」

灘高校の生徒たちが、知の巨人と呼ばれる佐藤 優氏(元外交官)の書籍を読み込んだ上で質問や意見を述べ、著者と対話した『君たちが知っておくべきこと: 未来のエリートとの対話』もお薦めである。灘高生の問題意識レベルは極めて高いことが読み取れるが、著者は政治・経済・思想・国際関係・教育など高校生の質問に対して自らの経験をふまえながら解説している。
印象に残った文の抜き書きを以下に示す(一部は吉本による要約)。

・「女性問題で転ばないでね。ほかの人は誰も言わないと思うから私が言っておくけど、そこは気を付けてください。小説を通じて代理経験を積んでおきなさい。」(77-78ページ)

・「岡田尊司の分析によると、マインドコントロールの原形は、子供たちが集まるスポーツクラブや進学塾にあると言うんです。そこでは子供をトンネルに入れるみたいに周囲から遮断して、その小さな世界のルールや価値観で支配する。トンネルの先に見える明かりは試合に勝つ、もしくは志望校に合格すること。そこに向かって脇目もふらずに邁進していく、そんな世界を作る。この方法をとることで確かに効率的に能力を伸ばすことができるかもしれないけれど、そういう形で思考の鋳型を作られちゃった人というのは弱いんです。つまり、その後の人生で、企業であれ、カルトであれ、役所であれ、外界から遮断されたところに入れられて、独自の価値観の中で評価されて、出口はここだって言う一点を見せられると、比較的簡単に疑問も持たず、その世界に没入してしまう。マインドコントロールされやすい。」(82-83ページ)

・「イギリスの小学校6年から中学校2年生に相当する生徒たちが使う歴史の教科書は明らかにエリートを養成するための教科書である。マウントバッテン卿にたいして「インド独立を認めさせるように手紙を書きなさい」が課題である。通史ではなく大英帝国の歴史上のターニングポイントに関する問題を生徒たちに考えさせているわけ。その過程で必然的に細かいデータもたくさん学ぶしね。そうやって歴史を押さえていくという方法で子供たちを教育している。」(97ページ)

・「日本の大学1、2年生の歴史教育のレベルが大体ロシアの中学生のレベル。ロシアの場合は、授業と言ったらすなわち全部暗記なんですよ。」(101ページ)

・「数学力の低下というのは日本だけでなく、国際的な問題なんだよね。その中でインドやロシアは国家戦略的に数学力を上げてきている。」(105ページ)

・「第一に学校の勉強を絶対にバカにしないこと。受験勉強は決して無駄にはなりません。受験勉強で身に付けた知識を大学に入ってからも継続して伸ばしていくこと。系統的に本を読むこと。かといっていきなり難しいものや、極端な説を唱えているのを読むんじゃないよ。きちんとした順番で本を読んでいくことが大切だ。それは先生や周囲にいる先輩で信頼できる人に聞けば、どういう順番で読んだらいいのか必ず教えてくれるよ。あともう一つは外国語力をつけること、あるいは将来において外国語力が必要になる局面が来ることをよく自覚しておくこと。もはや英語だけでは不十分。これからは中国語が必要になる。」(154ページ)

・「イギリスなんかは、教師と生徒が結ぶ人格的な関係、師弟関係といってもいいけれど、そうした輪の中で教育していく。ものの見方、考え方、人の気持ちになって考えること、価値観、そういったことを教師は生徒に継承させたり、あるいは継承させないでおこうと思ったりする。」(179-180ページ)

・「文科系に進んでいく人は大学に入ってから数学の講座をとる。そこで、偏微分とか重積分あたりまで進めていけばいい。理科系に行った人は、世界史・日本史はもとより地理とか倫理、哲学、こういうものもきちんと理解しておく。大学の教養課程のなかで自分が苦手だなと思うものをきちんと補強して、3分の2が文科で、3分の1が理科もしくはその逆という感じを目指すといい」(211ページ)

・「ケンブリッジもオックスフォードもハーバードもスタンフォードもモスクワ国立大学も、主な専攻を3つ決めさせるようになっている。3つのうち2つは文化系を選んだら、もう1つは理科系を選ばせるとか、ひとつの専攻にはまり込まないようになっているんだ。なので卒業時には日本で言うと3つの学部を修了するレベルになるわけ。日本は早い段階からいずれかに特化せざるを得ない教育システムだから、将来の選択の幅を狭めてしまう。」(212ページ)

これらは学生(もちらん学歴エリートでなくとも)にとっても、有用なアドバイスである。参考にしてほしい。

『戦争まで : 歴史を決めた交渉と日本の失敗』と『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』の2冊は,挿絵や人物の写真,手書きイラスト風の地図などが豊富に差し挟まれていて,まるでよくまとめられた講義ノートを見せてもらっているよう。
『君たちが知っておくべきこと : 未来のエリートとの対話』は対話形式なので,難しい問題を話し合っている箇所もやさしく読めます。
3冊とも本日より蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しています。ぜひ手に取ってご覧くださいね!


 sm

2016年10月20日木曜日

第4回TOKUDAI川柳を募集します!(平成28年10月27日~)


附属図書館読書週間企画「TOKUDAI川柳」を募集します!
第4回となる今回のお題は,「旅と本」です。

旅行に持って行ったお気に入りの本とのエピソードや旅先の書店で手にとった本との思いがけない出会いだったり, 旅行前に旅先での新しい出会いに心躍らせる。。。

そんな「旅」と「本」について五・七・五の川柳で表現してみませんか。
応募用紙と応募箱は,分館1階カウンター前及び分館2階マルチメディアルーム前に設置しています。図書館のHPの専用フォームからも応募できますよ。

入賞者には賞状と記念品を贈呈します。
たくさんのご応募をお待ちしています!

★第4回 TOKUDAI川柳 募集★

【募集期間】 平成28年10月27日(木)~11月30日(水)
【対象者】      徳島大学学生
【内容】    川柳(五・七・五の17字)
【お題】       「旅と本」

詳しい応募方法はこちらをご覧ください。


                                                                                                                                                (KH)

2016年10月19日水曜日

今月のいずみ号(2016年10月)

今日は徳島市立図書館の移動図書館「いずみ号」の巡回日でした。


今にも降り出しそうな曇り空でしたが、暑くも寒くもないちょうどいい気温と穏やかな風のせいか、いつもより利用者の方が多いような気がしました。

今月はハロウィン!というわけで、いずみちゃんもハロウィン仕様です。

そして、いずみ号には、市立図書館で開催されるイベント案内も貼られています。
今日気になったのはこちら「みんなで楽しめる バリアフリー映画上映会」。
 「バリアフリー映画」とは、”音声ガイドや字幕のついた視覚や聴覚に障害のある人も楽しめる映画”とのこと。
今回は「東野圭吾ドラマシリーズ 笑」ということで、興味のある方も大勢いらっしゃるのではないでしょうか。
個人的には「モテモテ・スプレー」をどう実写化したのかというのが大変気になります。

申込みが必要なようですので、詳しくは「図書館だより」をご覧のうえ市立図書館さんにお問い合わせくださいね。

図書館だより平成28年11月号

次回は11月11日(金)14:30~です。

(KY)

2016年10月18日火曜日

館長と総合科学部長が対談を行いました

徳島大学附属図書館では、メールマガジン「すだち」を発行しています。

昨日発行された141号に、”館長対談シリーズ「共に創る図書館」”第6回が掲載されました。吉本館長と平井総合科学部長との対談です。



先生の研究テーマであり、当館の貴重資料である伊能図との関わりについて、研究データのオープン化について,総合科学部におけるアクティブラーニングの取組についてなど、平井先生と館長の思いが語られています。

読ませていただいて、平井先生の

「図書館が「知」の提供だけでなく「情報」の提供も行っていただけると良いと思います。
大学図書館であっても徳島県における情報の提供者として,図書館へ行けば何か分かる,というような在り方も可能かと思います。」

という言葉が特に印象的でした。

学習支援についての話題の中で語られましたが、地域連携や社会貢献にも通じる、図書館の大事な役割だと思います。

次はどんな対談になるのでしょう・・・?

気になる方はぜひメルマガ「すだち」に読者登録をお願いします。
本学の教職員・学生はもちろん、他大学等の組織、個人など制限はありません。
皆様の登録をお待ちしています。

登録はこちらからどうぞ!

(KY)

2016年10月17日月曜日

知の見取り図サロンin徳島が開催されました(10/14)

「知の見取り図サロン」とは,知的好奇心に優しい社会を創るサービス「知の見取り図」が主催するイベントです。全国あちこちで開催されているのですが,今回は徳島大学附属図書館蔵本分館で「医療×○○」をテーマに実施されました。



「知の見取り図」については,図書館のホームページのリンク集に掲載すると同時にリアル展示も行なっており,これまでにも何度かブログで紹介しています。


「知の見取り図」の面白さは,自分が興味ある分野について学びたくなった時,すぐに学び始めれらる本がある,というところにあります。 
大学で学ぶ,ということは,すでに確立した知識を得るだけではなく,新しい知見を見つけていく,探求していく,ということ。
 では,講義では得られなかった知識や新しい知見を得るための他分野の知識はどうやって探すのか?
 そこで威力を発揮するのが図書館であり,「知の見取り図」です。
そんな理由から,当館では「知の見取り図」を取り上げているのですが,でも実は,知識は「人」から得るのが一番わかりやすくて,面白い。そして,そういった知的な話ができるコミュニティを創ることができればもっといい。「知の見取り図サロン」はそんな思いで開催されており,徳島では,徳島大学の学生を中心とした有志が運営グループとなって開催しました。目的は,「学生の視野を思いっきり広げる」こと。


サロンは,10月14日(金)の夕方18:30からスタート!
 3名のプレゼンターが自身の研究テーマを紹介したあと,グループに別れてトークを行いました。 


北岡和義先生(徳島大学教養教育院イノベーション教育分野) 

谷口諭先生(先端酵素学研究所 糖尿病臨床・研究開発センター)  

井上琢斗さん(徳島大学卒業生, 三好市地域おこし協力隊) 

















参加者は約20名。蔵本,常三島の学生,教員,一般の方が参加しており,「医療×○○」についてさまざまな観点から話をしていました。
詳細な内容は,「知の見取り図」主催者の中川瑛さんが,すでに記事にしてくれています。


中川さんの記事はこちら

この記事にもあるように,今回はタイムマネジメントが上手くいかず,参加者同士の話が充分にできなかったのですが,何人かの参加者の方から「また開催して欲しい」との感想がありました。

専門分野に特化しがちな蔵本では,こういった学部横断的な話ができる機会が少なく,以前から交流の場が欲しいとの声がありました。今回のサロンはまさにそういった場として機能したのだと思います。

一方で専門以外の分野にも関心を持つことで視野を広げる,という目的がうまく達成できたかというと中々難しかったのではないでしょうか。

いずれにしても,図書館を会場としてこのようなイベントが実施されたことには大きな意義があると思います。 図書館は新しい知識を得る場であり,知的好奇心に応えてくれる場であり,出会いの場である,という体験をすること。そういう体験をした学生が集うようになれば,「自ら学ぶ」学生が増えて,よい影響を与え合うのではないか,と期待しています。


 今後も,図書館では,このようなイベントをサポートしたいと思います。
今回のイベントの反省を踏まえて「リベンジ」サロンをしてもらえたら・・・次の開催をお待ちしております。 

(sasa)


2016年10月14日金曜日

新着図書のご案内

朝晩がとても涼しくなりましたね。
衣替えに失敗して風邪をひかないようにお気を付けください。

蔵本地区の教員選書のコーナーに新着図書が入荷しました。
写真のように配架しています。
だいぶ増えましたね。まだまだ増えますよ。

図書館2階のエレベータ横,マルチメディアルームの前ですので,お間違えなく。

教員選書の新着図書のリストはこちらです。


おなじみの1Fの新着図書コーナーにも本が増えました。
あわせてチェックしてみてくださいね。


科研費関連の書籍が入っていますので,教員の方も是非ご利用ください。
新着図書のリストはこちらです。


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2016年10月13日木曜日

第50回テーマ展示「女性のがん 乳がん」好評開催中です!

ご好評をいただいております,第50回テーマ展示「女性のがん 乳がん」,展示開始より今日で2週間です。もうご覧いただけましたでしょうか。

開始当初は発注中だった資料もすべて揃ってにぎやかになり,1度貸出された資料も戻ってくる時期です。
まだご覧になっていない方も,もうチェックしたよという方も,期間中何度でも足を運んでくださいね。

さて,10月10日(月)の徳島新聞に,本展示を監修いただきました丹黒章先生と,人類遺伝学分野教授,井本逸勢先生の紙上対談が大きく掲載されており,興味深く読まれた方も多いのではないでしょうか。
乳がんについて分かりやすく解説されており,がん治療に対する徳島大学病院の取り組みについても詳しく知ることができます。
まだの方は,ぜひご覧になってくださいね。
新聞の過去1ヶ月分は,新聞コーナーすぐ横の木製棚に収められています。

蔵本分館1階ホールで,皆さんのご利用お待ちしております!

   
こちらは新着図書
新着雑誌も今月は乳がんにちなんだ特集が多いんです
表紙にもピンクリボンが
sm

2016年10月12日水曜日

My Recommendations No.83「日本人はこうして歯を失っていく : 専門医が教える歯周病の怖さと正しい治し方」

本学研究・国際担当理事,永田俊彦先生がMy Recommendationsコーナーに下記図書をご推薦くださいました。
永田先生,ありがとうございます。

「日本人はこうして歯を失っていく : 専門医が教える歯周病の怖さと正しい治し方」
(日本歯周病学会, 日本臨床歯周病学会 / 朝日新聞出版)

書評をお寄せいただいておりますので,ご紹介します。

歯周病に関する正しい知識は国民の間に十分に浸透しているとは言い難い。この本は、日本の歯周病医療をリードする2つのメジャーな学会が共同で作成した新書である。「歯周病はどういう病気」、「全身の病気との関連」、「歯周病になりやすい要因」、「歯周外科手術」、「歯を抜くことになったら」、「メインテナンスの重要性」などについて、科学的根拠に基づいた確かな文章で解りやすく書かれている。とくに第2章「歯周病の衝撃の新事実」では、「歯周病の進行は差が大きく、1割の人は重症化する」、「男性喫煙者は重症化しやすい」、「歯周病の治療をすると、糖尿病も改善する」などの項目が大変興味深い。医療系の学生だけでなく、口腔ケアに興味をもつ一般の人達すべてに読んでもらいたい1冊である。

早速,蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しました。本日より貸出できます。
みなさんぜひ手に取ってご覧ください


sm

My Recommendations No.82「「リベラル」がうさんくさいのには理由がある」

歯科保存学分野教授,松尾敬志先生がMy Recommendationsコーナーに下記図書をご紹介くださいました。
松尾先生,ありがとうございます。

「「リベラル」がうさんくさいのには理由がある」
(橘玲 / 集英社)

書評をお寄せくださいましたので,早速ご紹介しますね。

「リベラル」は民主主義(民主制)の金科玉条であり、戦後日本のゴールドスタンダードともいうべき概念です。しかし、この日本の「リベラル」が世界的、いわゆるグローバルスタンダードのリベラリズムと同じかどうかは検証する余地があります。
 本書は第二次世界大戦の末期、沖縄戦で起こった集団自決への日本軍関与の問題を契機に、「日本のリベラル」の“うさんくささ”を指摘し、どこで、なぜ間違えたかについて考察を加えています。さらに、派遣社員やサービス残業など日本人の働き方の問題点、イスラム国の台頭で噴出したテロと宗教の問題、そして従軍慰安婦や憲法9条の問題まで、鋭い視点で論じています。
 携帯電話など、日本は何かとガラパゴス化しやすい体質を持っていると思われますが「リベラル」までもグローバルスタンダードから外れているとすれば由々しきことと思われます。ご一読頂き、考えるきっかけとして頂ければ幸甚です。


本日より蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しております。
ぜひ手に取ってご覧ください!



sm

2016年10月11日火曜日

文献検索の授業でプレゼン資料を作ってもらいました(薬理学実習)

図書館では,授業の中で行う講習会も承っております。

その一環として先週の金曜日に吉本勝彦館長の授業「薬理学実習」(歯学部3年生対象)で,文献情報の活用について説明と実習を行いました。

この時間は目標を次のように設定しています。
  1. 「文献」とはなにか,ということが説明できる
  2. 文献を探す手段を説明できる
  3. 参考文献の記載方法を理解し、求める文献が図書館に所蔵されているか確認することができる
  4. 文献検索用のデータベースを説明できる
  5. 検索での適切なキーワードの選び方について説明できる
  6. 検索結果を理解し,文献を実際に読む方法について説明できる
  7. 文献管理ソフトの概要について説明できる
2,3人のグループになってもらい、実習も交えて講習します。
目標3では実際の参考文献リストを各グループに配って、館内に探しに行ってもらいました。

図書館の蔵書検索が使えるようになって、「ある!」と分かっても、実際に探しに行くと色々なことが起こります。

雑誌がどうやって並んでいるか分からない、集密書架の動かし方が分からない、同じ名前の雑誌がたくさんありすぎて、どれが探しているものか分からない・・・などなど。
特に、製本雑誌(雑誌を何冊かにまとめて本のような形にすること)に戸惑っているようなグループもありました。確かに、職員KYも大学に来るまでそんな形の雑誌は見たことがありませんでした。

職員になると当たり前のことが学生さんなど利用者の方にとっては当たり前でない、 そんな大事なことに気づかせてくれた時間でした。

そして、最後にグループでプレゼン資料を作る課題に挑戦してもらいました!

お題は
「 ”再生不良性貧血の薬物療法について”述べた論文で,電子ジャーナルで読めるものを挙げてください。使うデータベースはPubMedで,検索プロセスも提示してください。また、検索の際はシソーラスを使ってください。」

というもの。吉本先生の講義ノートによると、この週の薬理学の授業では「血液疾患」がテーマでしたので、復習を兼ねたお題にしてみました。

皆さん、実習の成果もあり検索は支障なくできており、一安心。
プレゼン資料も早いところでは10分程度で「できました!」と声がかかり驚きました。
早くできたところには資料作成に慣れていないグループを教えてもらったりと、助けあいながら全グループの資料が完成し、いくつかのグループには実際に前へ出てプレゼンもしてもらいました。


各グループそれぞれに工夫をこらしたプレゼンで,吉本先生から繰り出される「この英語はどういう意味?」「この間の授業でなんて言ってたっけ?」などの鋭い質問にも頑張って答えていました。

図書館では、皆さんの学習,研究生活がより深く実り多いものになるよう支援していきたいと思っています。
今回のように、ご要望に応じて講習会や文献探しの方法についての説明を行っていますので、ぜひご利用いただければ幸いです。

図書館に来ていただくだけでなく、授業にお伺いすることもいたしますし、授業の一部で説明するということもしております。
どうぞお気軽にご相談ください。

(KY)


2016年10月7日金曜日

10月10日(月)は臨時休館です

蔵本地区施設定期点検による停電のため、下記のとおり臨時休館させていただきます。
ご不便をおかけしますが、どうぞご了承ください。

休館日:平成28年10月10日(月)

停電の間は,玄関・入退館ゲートの出入り、閲覧室等の電気やトイレが使用できなくなります。  
時間外特別利用も利用できませんので、ご注意ください。

(KY)


2016年10月6日木曜日

ご意見への回答(図書について)

<ご意見>
神経解剖学講義ノート
授業で使うので,2冊くらいおいてほしいです。
(10月5日)

<回答>
ご意見ありがとうございます。
この本は確かに1冊しか所蔵しておらず,現在「貸出中」となっております。
ご不便をおかけしました。
しかしご安心ください。この図書は夏の選書で追加で発注しており,もう間もなく書架に並びます。
今週中には新着コーナーに登場しますので,どうぞご利用ください。

それでも足りない!という場合は,「学生用図書購入希望」で図書の購入リクエストができます。
お申込はこちらから。

ちなみにこの図書は,電子書籍でも発行されています。

図書館では購入していないのですが,情報だけは見えるので,ご参考までに掲載しておきます。
「カラー図解 神経解剖学講義ノート」はこちら
 
電子書籍があれば,「誰かが借りてるから読めない!」ということが少なくなります。
ちょっとお高いのですが,熱烈なお申し込みがあれば,購入も検討しますのでリクエストしてみてくださいね。

(sasa)




2016年10月5日水曜日

祝!ノーベル医学・生理学賞(東京工業大学 大隅良典栄誉教授の著書と国内雑誌論文を展示しています)

今年のノーベル医学・生理学賞は、東京工業大学 大隅良典栄誉教授が受賞されました。おめでとうございます。

今回の受賞にちなんで、蔵本分館では、所蔵している大隅先生の著書と学術論文(日本語)を展示しております。
たくさんあって全部は置ききれないので、特集が組まれている号など「オートファジー」に分かりやすく触れられそうなものを中心に展示しています。

また、昨年の大村智先生同様、今後も様々な雑誌で特集が組まれると思いますので、順次紹介していきたいと思います。

展示資料リスト(2016.10.5現在)

ぜひご覧ください!

また、日本語の文献だけでなく 海外の学術論文を読んでみたい!という方へ。
ノーベル財団のWebページ内「Press Release」では、”Key publications”として以下の4論文が紹介されています。
これらはオープンアクセスまたは徳島大学で契約している雑誌ですので、学内ネットワークからはすべて本文を読むことができます。

この機会にノーベル賞の研究に触れてみませんか?
ぜひご利用ください!

Takeshige, K., Baba, M., Tsuboi, S., Noda, T. and Ohsumi, Y. (1992). Autophagy in yeast demonstrated with proteinase-deficient mutants and conditions for its induction. Journal of Cell Biology 119, 301-311

Tsukada, M. and Ohsumi, Y. (1993). Isolation and characterization of autophagy-defective mutants of Saccharomyces cervisiae. FEBS Letters 333, 169-174

Mizushima, N., Noda, T., Yoshimori, T., Tanaka, Y., Ishii, T., George, M.D., Klionsky, D.J., Ohsumi, M. and Ohsumi, Y. (1998). A protein conjugation system essential for autophagy. Nature 395, 395-398

Ichimura, Y., Kirisako T., Takao, T., Satomi, Y., Shimonishi, Y., Ishihara, N., Mizushima, N., Tanida, I., Kominami, E., Ohsumi, M., Noda, T. and Ohsumi, Y. (2000). A ubiquitin-like system mediates protein lipidation. Nature, 408, 488-492


※大隅先生の業績については、東京工業大学のWebサイトにも詳細に掲載されていますので、あわせてご紹介します。

大隅良典栄誉教授 ノーベル生理学・医学賞受賞決定(東京工業大学Webサイト、2016.10.3付東工大ニュース)
大隅良典 略歴・研究成果 (東京工業大学Webサイト)

(KY)

2016年10月4日火曜日

文芸コーナーの図書を入れ替えました(2016年10月)

10月の文芸コーナー図書入れ替えのお知らせです。

芸術の秋!ということで、今月は楽譜を多く選んでおります。

 もちろん読書の秋でもありますので、他にもよりどりみどりの計25冊が新しく入っています。
ぜひご利用ください!

文芸コーナー入れ替え図書リスト(2016年10月)

(KY)

My Recommendations No.79,80,81「治せる医師・治せない医師」,「医師はなぜ治せないのか」,「心臓 : 患者と医師、そして医療の進歩の35年にわたる物語」

附属図書館長,吉本勝彦先生(分子薬理学分野教授)より,My Recommendationsコーナーに図書をおすすめいただきました。 吉本先生いつもありがとうございます。

My Recommendations No.79,80
『治せる医師・治せない医師』
『医師はなぜ治せないのか』
(バーナード・ラウン / 築地書館)

My Recommendations No.81
『心臓 : 患者と医師、そして医療の進歩の35年にわたる物語』
(ディック・チェイニー, ジョナサン・ライナー, リズ・チェイニー / 国書刊行会)

書評をお寄せいただいておりますので,早速ご紹介します。


これらの2冊はThe Lost Art of Healing: Practicing Compassion in Medicine(1996年発行)の翻訳で前半部分が「治せる医師・治せない医師」、後半部分が「医師はなぜ治せないのか」に分けられている。著者のバーナード・ラウン博士は、ハーバード大学医学部の関連病院(現在はブリガム・アンド・ウィメンズ病院)でジギタリスと低カリウム血症の関係の研究、直流除細動器の開発、不整脈と心臓突然死の研究など、心臓病学の最前線を切り開いた。心室性期外収縮のLown分類、Lown - Ganong - Levine (LGL)症候群(心電図でPQ短縮はあるが、デルタ波を認めずQRSの形が正常で、発作性上室性頻拍を起こしやすいもの)などに名前を残している。1985年には核戦争防止国際医師会議を代表してノーベル平和賞を受賞した。
本書から印象に残った文を抜き書き、または要約して紹介する。(カッコ内は吉本による注釈)
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1. 問診(p.29-39から抜き書き)
「短い問診の時間で、必要な情報だけでなく、患者の人となりをつかまなければならない。簡単なようだが医師の技術の中で聞くことほど複雑で難しい技はない。言葉に出せない問題を聞く耳を持つ能動的な聞き手にならなければならない」、「何をやってもだめなら、患者の話を聞け」、「しばしば患者は誤りを指摘してくれるだけでなく、最善の問題解決方法のヒントを提供してくれる」、「問診をするときに、患者の家族、特に配偶者が同席するほうが、たいていうまくいく」

2. 身体診察(p.44-46から抜き書き)
「触れることで、深い洞察が得られる。初診で最初に交わされる会話は、さしさわりのないことがほとんどだ。身体を診察した後、患者との人間関係が大きく変化することが多い。よそよそしさがなくなり、気がねなく気楽に話せるようになる」、「握手の診断的価値に関して、論文が書けるほどだ」、「打診は医師と患者の結びつきを強め、信頼を醸成する手段である」

3. 傷つける言葉(p.83-85から要約)
「ある日、メンターであるレヴァイン先生が回診の際「これははTSの症例だ」と言った。医師は三尖弁狭窄症(tricuspid stenosis)このことをTSという。患者は「これで終わりね」とつぶやいた。ラウン先生がたずねると、TSとは『末期的状態terminal situation』のことでしょうと答えた。その後、心臓は悪くないのに心不全状態で死亡してしまった。」

4. なぜ医師は傷つくことを言うのか(p.100から抜き書き)
「どのような理由があろうと、患者をおどかしたり無力にするような言葉を使うことは正当化できない。患者を恐怖におとしいれて、難しい選択を強いてはならない。もし医療が会社であれば、患者が社長だ。患者がはっきりとものを言えるようでなければならない」

II「医師はなぜ治せないのか」
1. 性について(p.35から抜き書き)
「高齢者のセクシュアリティーは常に悲しみを帯びている。深い喪失感があるが、率直に語る人は少ない。医師もこの話題を避ける。老いの非情な現実だから、どうすることもできないとむなしく思う。それでも共感を持って患者の悩みを聞くことで、苦しみを和らげることができるかもしれない」

2. 医師の老化について(p.50から抜き書き)
「若い時とちがって、私は自信が持てないとき、患者に正直にそう言う。意外にもそのほうが、患者は医師を信頼する。医師の横柄さは、自信のなさを隠そうとするみえみえの態度である。若者は謙遜とは無縁だが老人には謙遜が身に付いている」

3. 発見の代償(p.96から抜き書き)
「当時、心不全患者の主要な死因の1つがジギタリス中毒だった。利尿薬によってカリウム濃度が低くなると、ジギタリスに対する感受性が高まって中毒になりやすくなる」(ことを発見した)
(約30年前に、先輩医師から「ジギタリスとステロイドをうまく使いこなせると一人前の内科医」と言われた時期があったと聞いたことがある。レヴァイン先生は利尿薬によるジギタリス中毒は、心筋が過剰なジギタリスにさらされることが原因と考えていたが、ラウン先生はその考えは誤りであることを実証した。)

4. 電気ショックによる治療(p.127から抜き書き)
「心臓病治療が全体的に向上したことも嬉しかったが、それ以上にうれしかったのは、患者が苦しみあえいでいた心臓のバタバタ音を、この器械(除細動器)で簡単に、奇跡のようにドクドクという音にもどせることだった。数時間のうちに患者たちは、胸をかきむしるほど苦しかったことも、嘘のように忘れた。」
(現在はAED (自動体外式除細動器)が普及し、心停止者の救命率を上げることが期待されているが、実際に使われた割合は低く、設置場所の周知や使用法の啓発が一層求められている)

5. 集中治療室(p.136-173から抜き書き)
「犬の冠状動脈前室間枝を閉塞させると、24時間から36時間以内にさまざまな心室性不整脈があらわれ、既成の抗不整脈剤を試しても不整脈を抑えることはできなかった。しかし、驚くなかれ。リドカイン(局所麻酔薬)を注射したとたんに、あらゆる心室性期外収縮が止まった。まるで、湧き上がる不整脈の栓をぴたっと閉めたようだった」
(1950年代の手術室で胸部外科医が肺切除の際に、キシロカインを心臓にかけるという妙なことをしていた。ラウン先生が理由を尋ねると「肺手術中に心拍が乱れないようにするためだ」と胸部外科医は説明した。このことからキシロカインが不整脈に効くかどうか調べてみようと思いたった)

6. 医師の選び方(p.189-191から抜き書き)
「患者に会ったとき、医師が握手をするかしないか。このジェスチャーは医師が患者に近づきたいと思っていることをあらわす」
「時間厳守は医師の人間性をはかる重要な要素である。時間を守ろうとする気持ちは、基本的に相手に対する敬意のあらわれだ」
「問診のときに電話で中座するような医師も用心したほうがよい」
「医師は自信と楽天主義にあふれていなければならない」
「重要な点は、医師が患者の言うことに進んで耳を傾けることができるかどうかである」
「患者が言ったことを医師がもう一度繰り返したり要約したりすれば、その医師はよく訓練されたよい聞き手である」
「『なぜこのようになるまで放っておいたのですか』とか『もっと早く来ていただきたかったですね』」などと言って患者を責める医師も警戒するべきだ」
「冗談にしろ患者を傷つけることを言う医師には低い点数をつけるべきだ」
「患者を隅々まで診察する医師は、ていねいさという点で優れているだろう」
「公に過ちを認めることは、失敗の繰り返しを最小限に抑える最善の方法であり、最高の医師になれる資質と言って良いだろう」

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残念ながら両書とも現在は絶版である。原書は1996年に発行されているが、古さを全く感じさせない。治療法開発の歴史を振り返る点でも興味をそそるが、それ以上に、医師としての態度において、わが身を振り返ると反省させられることばかりである。患者の訴えに真摯に耳を傾ける姿勢を持ち続け、医療機器による検査に頼らず、自分の五感を研ぎ澄まし診療技術を磨き続けられる内科医でありたい。

また、心臓病治療については次の本も取り上げたい。
「心臓 - 患者と医師、そして医療の進歩の35年にわたる物語」(ディック チェイニー, リズ チェイニー, ジョナサン ライナー 著、国書刊行会)では、アメリカの第43代ジョージ・W・ブッシュ大統領の副大統領を務めたチェイニー氏(「史上最強の副大統領」と呼ばれた)が1978年に心臓発作を起こしてから35年にわたった闘病 (血管拡張手術、バイパス手術、冠動脈手術、左心室補助装置の埋め込み手術、71歳で心臓移植)を記録している。また主治医であるジョージ・ワシントン大学医学部のジョナサン ライナー教授により心臓病治療の歴史と医療の進歩について分かりやすく解説されている。心臓病治療の最近の歩みがチェイニー氏の具体的な治療として示されているので理解しやすい。合わせて読むことを勧める。

3冊とも,本日より蔵本分館1階My Recommendationsコーナーに展示しています。ぜひ手に取ってご覧ください!

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