本田先生,ありがとうございました。
『サパイラ身体診察のアートとサイエンス(原著第4版)』
(Jane M. Orient著 ; 須藤博 [ほか] 監訳 / 医学書院)
書評をお寄せくださいましたので,早速ご紹介します。
最近の地域医療では、医師不足、高齢の患者さんの増加などに対し、専門臓器にこだわらない「総合診療医」が求められている。そこで、2011年11月、徳島大学病院2階に「徳島県地域医療支援センター」が設置され、「総合診療の指導力育成事業(徳島GMラウンド)」が開始された(注:GMは、総合診療の略)。
総合診療で活躍のオピニオンリーダーを招聘し、第1回(2012年8月)は、川尻宏昭先生(名古屋医療センター、講演時の所属)で、県立中央病院が担当。その後、②同年10月に、岡田正人先生(聖路加国際病院、担当は徳島大学)。③2013年1月に、入江聰五郎先生(浦添総合病院、担当は徳島赤十字病院)。④同年10月に、三木豊和先生(淀川キリスト教病院、担当は徳島市民病院)。⑤同年11月には、岩田健太郎先生(神戸大学、担当は徳島県鳴門病院)。⑥2014年2月、長浜正彦先生(聖路加国際病院、担当は阿南共栄病院)。⑦同年10月、鈴木富雄先生(大阪医科大学、担当は徳島健生病院)。⑧2015年3月、県立三好病院が担当で、箕岡真子(箕岡医院)・稲葉一人(中京大学)両先生の講演と続いている。
第9回は、吉野川医療センター(吉野川市)が担当で、さる2015年7月18日(土曜)、須藤博先生(大船中央病院)による、「SpPinな身体所見」(特異度(Specificity)の高い所見が陽性(positive)のとき,その疾患の診断 (Rule in)に役立つ)と題した講演が行われた。私は、土曜日直のため、残念ながら懇親会からの参加となった。その席で、この”サパイラ”が話題となった。
日本語訳でも、文学、歴史書からの引用が多く、箴言にあふれているので読むのに苦労するが、監訳者の須藤先生に序文・第一章を(序論)を読むのを勧められた。「聴診器で最も大切なパーツはどこか(答えは、24ページ)」、定義の項では、「機能的(functional)は、医師の無知を隠すために使われる言葉」。専門(Specialty)を、「何らかの方法で範囲を制限した業務のこと」と、ユーモアのある文章である。医療面接、病歴、記録と続き、全身状態、バイタルサイン、そして皮膚から神経までの臓器別の解説。最後に、臨床推論、臨床検査を解説している。
訳者には、岩田健太郎(上述)、岸本暢将(聖路加国際病院)、鈴木富雄(上述)、徳田安春(筑波大学)、山中克郎(諏訪中央病院)の諸先生など、そうそうたるメンバーが並んでいる。大家の黒川清(政策研究大学院)、松村理司(医療法人社団洛和会)、青木眞(感染症コンサルタント)の諸先生の書評のとおり、医学生・研修医からベテラン医も、一度本書を手に取って、“身体診察という知的興奮に満ちた旅への羅針盤・地図”に触れてほしいと思う。
★徳島県地域医療支援センター
★医学書院の書評(黒川清、松村理司、青木眞)
⇒http://www.igaku-shoin.co.jp/bookDetail.do?book=81639#top蔵本分館1階My Recommendationsコーナーに展示していますので,どうぞ手に取ってご覧ください。
皆さんのご利用,お待ちしております!
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