論文を読む重要性は分かっていても,ただ漠然と論文全体を読むだけでは内容の妥当性や結果,適用性を見極めることは困難です。
このワークショップでは,ポイントに沿って臨床研究論文の内容をチェックし,臨床場面への適用についてグループで考えます。
講師は全国各地でEBMワークショップを行っているネットワーク代表で,倉敷中央病院救命救急センター長の福岡敏雄先生です。
また,PubMedやUpToDate等で臨床情報を検索するポイントについて,「図解 PubMedの使い方」の著者のひとりでもある京都府立医科大学附属図書館の山下ユミ氏による実習形式の講義を行います。
対象は,蔵本地区の学部学生・大学院生・教職員(病院の医師,歯科医師,薬剤師,看護師,メディカルスタッフ等を含みます)です。
申込25名程度で募集を締め切ります。
参加希望の方は,ebm2015@lib.tokushima-u.ac.jpまで,所属とお名前をお知らせください。
<プログラム>
9:00~9:30 受付
9:30-10:30 EBM概論・ランダム化比較試験について
10:30-12:10 ランダム化比較試験の論文を読もう~グループ討論・フィードバックと全体セッション
12:15-13:00 臨床情報を検索する~EBMからCochrane Library,PubMedへ
13:00-14:30 昼休み ※ランチョンセミナーあり
14:30-16:45 メタアナリシスの論文を読もう~グループ討論・フィードバックと全体セッション
16:45-17:15 まとめ
午前と午後で1本ずつ論文を読みます。臨床シナリオを用い,事前に送付する課題論文について,チェックシートを用いてグループ討論、発表、フィードバックを行います。
また,経験豊富なチューターの方をお招きし,各グループに付いていただきます。
コミュニケーションの促進や,議論のポイントを整理してくれますので,初めての方でも安心してご参加いただけます。
シナリオを少しだけ紹介します。
「あなたは、ある病院の内科医である。
32才の男性が、2日間の咳と発熱を主訴に救急外来を受診してきた。
体温38.0℃ 血圧120/70 HR 88/分 呼吸回数18回/分 であった。
意識は清明で、ふつうに歩いて受診されていて全身状態は良さそうであった。食欲もあり、咳が一番辛いとのことだった。
身体所見では、咽頭の発赤は軽度で扁桃腺は腫れていなかった。頸部リンパ節の腫脹・圧痛はなかった。呼吸音は、右胸部でrhonchiを聴取した。呼吸音の減弱などは認められなかった。
あなたは、肺炎の可能性があると思われたので胸部レントゲン写真を撮ったが、右下肺野でやや淡い陰影を認めたが、明らかな肺炎像はなかった。
気管支炎と診断し、通常の消炎鎮痛剤と去痰薬を処方したが、患者さんから
「抗生物質を頂けますか」と声をかけられた。・・・」
ワークショップではこのシナリオをもとに,疑問を定式化し,論文の質を吟味します。そして,その結果を踏まえ,このシナリオの患者さんに論文が適用できるのかを考えます。
昨年度の参加者からは,
- 論文の読み方,目の前の患者にどう当てはめるか,患者にとって最善な治療は何なのかということを学ぶことができてよかった
- 他学部の人とディスカッションできる貴重な機会でよい刺激になった
- 臨床研究を行う時に,どのように患者設定をするか,どのような目的,アウトカムを考えるとより患者さんに反映できる研究になるかをじっくり考えることができた
学外から講師をお招きしEBMの実践過程を学ぶことのできる,貴重な機会となっております。
たくさんの方のお申し込みをお待ちしております。