浜田先生,ありがとうございました。
早速ご紹介します。
歴史は人が作るものですが,人だけが作ってきたのではありません。人を取り巻く環境が歴史にどれほど大きな影響を与えてきたかを,生物地理学,文化人類学,言語学など多角的な視点から考察した作品です。本書は1998年のピューリッツァー賞受賞を始め,高く評価される一方で,様々な分野の専門家の批判を巻き起こすなど,賛否双方の注目を集めてきました。分量は多く,類似した考察が頻繁に出てきて冗長であるなど,決して読みやすい本ではありません。また,必ずしもエビデンスが明確とはいえない考察もあり,批判的な読書が必要でしょう。しかし,作品全体を通じて感じられる,科学的であろうとする姿勢,通説を疑ってかかる姿勢,多角的な視点から考察を試みる姿勢などは,専門分野を問わず見習うべき点です。
人の創造性が成果として結実するには環境に恵まれることも重要である,という筆者の主張には,自らの体験を踏まえて納得する方も多いかもしれません。しかし,環境のせいにして諦めるのではなく,環境すらも改変して目指す道を進もうとする若者に,是非読んでもらいたい作品です。
1階ロビーにありますので,ぜひ読んでみてくださいね。
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