薬学部分析科学分野教授,田中秀治先生が下記図書をご推薦くださいました。
田中先生,ありがとうございました。
「道ありき」
(三浦綾子 / 新潮社)
書評をお寄せくださいましたので,ご紹介します。
「氷点」,「塩狩峠」などで知られる作家の自伝。20代前半から37歳で迎えた結婚初夜までの出来事が綴られている。小学校教員の綾子は,終戦に伴う価値 観の激変から虚無感に陥り,退職,婚約解消,自殺未遂の果て,脊椎カリエスのため寝たきりの状態になった。幼馴染みの医学生の勧めでキリスト教の洗礼を受 けた綾子は,その彼との純愛,信仰,家族の看護に支えられ,長い闘病生活を送る。しかし,彼は結核のため帰らぬ人となった。一周忌が過ぎ,失意の綾子のも とに,亡き恋人の面影に重なる見舞客(三浦光世)が現れる…この自伝に登場する人物は皆,純粋,真摯,誠実である。クリスチャンではない私には,「ここま では思えない」と感じる部分もある。しかし,多くの煩悩で穢れた私の心は,本書を読むと少しは洗われるような気がする。「生きることとは」,「人を愛する こととは」など,皆さんにとっても何か感じるものがあると思う。
「道ありき」は徳島大学の教職員が推薦「新入生にすすめる私のこの一冊」にも選ばれています。
蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーにて本日より展示中。
また,「道ありき」第二部「この土の器をも」,第三部「光あるうちに」も,今後入荷予定です。
数多くの名作を生み出した作家の,ドラマよりもドラマチックな自伝小説を,ぜひご覧ください!
sm