2016年5月11日水曜日

インパクトファクターの値,いくつ以上なら高いのですか?

先日「インパクトファクターの数値は,どのくらいだったら高いといえるのでしょうか」というお問い合わせがありました。
読む論文を選ぶ際に,「インパクトファクターの高い雑誌を読む,という方法もありますよ」と先生にアドバイスをいただいたのだそうです。

インパクトファクターを調べるのは,Journal Citation Reportsですね。
https://jcr.incites.thomsonreuters.com/

アクセスすると,最初は全分野の雑誌がインパクトファクター順に表示されます。
見てみると1位の雑誌はインパクトファクターの値が140を超えています。2位以下はちょっと離れていますが,50,40という数値が確認できます。
これだけ見ると,インパクトファクターが一桁の雑誌などはちょっと心配になってくるかもしれません。

しかし,そうではないのです!!

インパクトファクターの値は,分野によってかなり違ってきます。
これは,インパクトファクターが過去2年間に対象雑誌に発表された論文が他の論文に引用された数を元に計算されていることによります。
「過去2年間」が対象なので,何年も経ってから引用されるようになるという分野のものは必然的に数値が小さくなりますね。
(また,意外と知られていないのですが,すべての雑誌にインパクトファクターが付いているわけではありません。トムソン・ロイター社の定める厳格な基準をクリアした雑誌のみが採択されます。)

ですから,インパクトファクターの数値を見るときは,同じ分野の雑誌同士で比較することが重要です。 
Journal Citation Reportsには,もちろんその機能が備わっています。
「Categories by Rank」タブをクリックすると,分野の一覧が表示されます。

気になる分野が見つかったら,#Journalsの列に表示されている数字をクリックしてみましょう(これは,その分野に登録されている雑誌数です)。
今度はその分野の雑誌がインパクトファクター順に表示されます。

(KY)