今日は、「言語を絶する感動」と評され、世界中の人々に読み継がれてきた名著、
「夜と霧」
をご紹介します。
これは第二次世界大戦中、ナチスにより強制収容所に送られた体験を記した作品です。
戦争体験や捕虜体験の本は数多くありますが、とりわけ本書は、序盤から「まるでライオンの檻に目隠しをしたまま投げ込まれたような」緊迫感と絶望で読者をとらえ、息もつかせぬまま最後まで読み切らせる、そんな力があります。
ある人間の人差し指の向きひとつで生死が分けられる「選別」。シャワーに行ったまま帰ることのなかった仲間。何も知らされない収容所の人々の、自分が死に向かっていることを意識しながらも、それが今なのか明日なのか見当もつかない、二重の恐怖に耐える様子が克明に描かれています。
1956年に日本語版が出版されていますが、2002年に新訳されて一層読みやすくなりました。一度は読んでおきたい名作ですので、ぜひ借りてみてください。
……と言いながら、実は新着図書コーナーに展示して2分足らずで借りていただけるという嬉しい事態で、2月下旬まで貸出中の予定です。本館にも同じ本がありますので、ご予約や取り寄せなど、あわせてご活用ください。お待ちしています!