2017年9月26日火曜日

第58回テーマ展示「がん免疫療法」

蔵本分館では第58回テーマ展示を1階ホールにて行っています。
今回は徳島大学病院臨床試験管理センター特任講師,軒原浩先生に監修いただき,「がん免疫療法」をテーマに関連書籍・雑誌を展示しています。

がん治療の新しい扉を開いたとも言われる「がん免疫療法」は,手術,抗がん剤,放射線に次ぐ「第4の治療法」として,近年大変な脚光を浴びています。
免疫でがんを制御するという考え方は古く,120年以上も前から色々な治療法が試みられてきましたが,最近の免疫学研究,遺伝子工学技術の著しい進歩により,その可能性は大きな広がりを見せています。

「がん免疫療法」の中でも,特に注目を集める免疫チェックポイント阻害薬は,がん細胞によってブレーキがかけられた状態の免疫細胞の「ブレーキを外す」働きをするものです。日本で初めて承認された免疫チェックポイント阻害薬「ニボルマブ」(オプジーボ)は,当初,悪性黒色腫のみだった適応が,現在では非小細胞肺がん,腎細胞がん,ホジキンリンパ腫,頭頸部がんへと拡大され,さらには胃がんや食道がん,卵巣がんなど複数のがん種で臨床試験が進んでいます。
数年以内には多くのがんで,標準治療に採用されるのではと期待が寄せられています。

画期的な作用機序や高い治療効果がメディアでも取り上げられ,この新しい治療薬に一般の方から寄せられる関心も高まっていますが,新しいだけに抱える課題も様々です。
免疫関連副作用の予測や対応が難しいこと,高額な薬価が医療経済に与える影響を懸念する声も聞かれます。臨床における知見は確実に蓄積されていますが,今後の更なる発展には,バイオマーカーの探索や,多剤併用による治療効果の検証など,まだまだ多くの時間をかけて研究する必要があるとされています。

「がんと免疫」という視点は,免疫療法だけでなく,従来のがん治療にも影響を与えています。手術の予後や,化学療法・放射線療法の奏効率にも,免疫が重要な因子であることはこれまでの研究でも示されており,免疫制御が今後のがん治療の重要なテーマの一つとなってくることは確実です。

この機に「がん免疫療法」ついて理解を深めてみませんか?
「がん免疫療法」,展示期間は11月6日(月)までとなっています。期間中,ぜひ蔵本分館1階ホール,テーマ展示コーナーにお立ち寄りください。

なお,今回のテーマ展示「がん免疫療法」は学生さんから寄せられたリクエストテーマの一つです。
これからもみなさんのニーズに応じた企画を実施すべく,リクエストテーマを募集しています。同コーナーに設置したご意見箱にみなさんの声をお寄せください。お待ちしています!

今まで行ったテーマ展示の一覧は
http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/siryou/theme/
から見ることができます。
こちらもぜひチェックしてみてくださいね!

 sm