2019年9月30日月曜日

My Recommendations No.143「人生を狂わす名著50」

 附属図書館長 依岡隆児先生(社会産業理工学研究部社会総合科学域 国際教養系教授)より,My Recommendationsコーナーに下記図書をおすすめいただきました。依岡先生,いつもありがとうございます。

『人生を狂わす名著50』(三宅香帆 / ライツ社)

それでは早速,お寄せいただいた書評をご紹介します。

現役の京大院生で古本書店員が「正直、これ読んだら人生狂っちゃうよね」と思う本を選んで、「天狼院書店」というウェブサイトに掲載したものをもとに書いた本です。
紹介する本を誰にすすめたいかを示し、キーワード検索できるようにしています。「人生を狂わすセリフ」は大文字にし、話し言葉やブログ言葉を使うなど、今風の書き方。「私にとって、読書とは、戦いです。…今、ちょっと笑いました?いや、本当ですよ。私は大真面目に言っているんですよ」という調子です。しかしながら、書評は予断のない解釈がとても新鮮です。ネット言葉の語りにもどこか品があり、外国小説も多く取り上げ、硬派な本も紹介している本書の内容とうまくマッチさせています。関連本を3冊、参考文献として挙げ、解説も付けているのも有難い。
作者は徳島生まれで、高知育ちというから、親しみがわきます。学生の皆さんも手に取れば「人生を狂わされる」かもしれませんが、大学時代に読んでおいたらいい本に、きっと出会えるでしょう。
続編として『バズる文章教室』(サンクチュアリ出版、2019年)も出ました。こちらも幅広い読書体験に裏打ちされていて、多種多様な本やブログの一節をもとに、文章レトリックを楽しく紹介しています。



 『人生を狂わす名著50』『バズる文章教室』の2冊は,本日より蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しております。ぜひ手に取ってご覧くださいね!
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My Recommendations No.142「あの戦争から遠く離れて ~私につながる歴史をたどる旅」

 今回のMy Recommendationsコーナーには,附属図書館長 依岡隆児先生(社会産業理工学研究部社会総合科学域 国際教養系教授)より,下記図書をおすすめいただいております。依岡先生,いつもありがとうございます。

『あの戦争から遠く離れて ~私につながる歴史をたどる旅』
(城戸久枝 / 情報センター出版局)

それでは早速,お寄せいただいた書評をご紹介します。

本作は大宅壮一ノンフィクション賞、講談社ノンフィクション賞、黒田清JCJ新人賞を受賞、テレビでドキュメンタリーやドラマ(『はるかな絆』NHK,2009年)にもされました。作者の城戸さんは、徳島大学総合科学部出身です。
お父さんが中国残留孤児として戦後、中国人に引き取られて育てられ、日中関係改善の時期になって、やっと27歳のとき帰国を果たしました。城戸さんは大学に入るまで、戦争や残留孤児のことにはあまり関心がなかったのですが、ある日父が取り出した箱の中に、帰国のために日本の赤十字に書き送った手紙や手帖などが入っているのを見て、身近な問題として関心を持つようになりました。学生時代に吉林大学に留学、父の足跡を探り、関係者にもインタビューして書いたのが本作です。
戦争の記憶が風化していくなかで、なんとかそれをとどめておきたい、戦争に無関心な戦後生まれの人たちに、少しでも関心をもってもらいたいという思いで書かれています。なにより作者自身が、戦争が他人事ではなく、深く探ると必ず自分とつながってくることを実感したがゆえに、記録というより「記憶」として残したかった作品でしょう。

戦争が遠くになりつつある現代だからこそ、学生の皆さんに読んでいただきたい。
また、本作の子供向けに書かれた作品に、『じいじが迷子になっちゃった』(偕成社、2019年)があります。


 本日より,蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しております。ぜひ手に取ってご覧くださいね!
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My Recommendations No.141「阿波の偉人伝 長井 長義」

 附属図書館長 依岡隆児先生(社会産業理工学研究部社会総合科学域 国際教養系教授)より,My Recommendationsコーナーに下記図書をおすすめいただきました。依岡先生,ありがとうございます。

『阿波の偉人伝 長井 長義』(渋谷雅之/阿波銀行)

それでは早速,お寄せいただいた書評をご紹介します。

長井長義は徳島出身でドイツに留学してエフェドリンを発見したことで知られていますが、日本の薬学の基礎を作り、東京帝国大学教授、衛生局東京試験所長、大日本製薬会社製薬長など歴任、産官学に渡る活動を展開した人です。女子高等教育に尽力したばかりか、地元徳島では徳島高等工業学校設立にも関わり現・徳島大学薬学部の基礎を作ったり、製藍改良の実験により阿波藍の優秀性を証明したりと、地域にも貢献しました。その銅像は現在、本学薬学部にあります。生家は、なんと中常三島町、大学のすぐそばでした。
本書は本学薬学部元教授だった渋谷先生がこの徳島大学ゆかりの長井長義について書いた本です。史料を読み込み、批判的に解釈を加え、長井の長崎留学には関寛斎の力添えがあったと斬新な解釈を示すなど、鋭い推察力や歴史解釈を随所に発揮しています。また、現代の学会制度や地方行政のあり方、大学運営にも言及し、著者の学会・大学におけるマネジメントの経験に裏打ちされた知識を披露している点も興味深い。

すでに「長井長義 長崎留学」「ドイツ通信」を翻刻して、文献を渉猟してきた実績に裏打ちされた、長井長義への強い思いが書かせた労作です。第41回とくしま出版文化賞を受賞しています。


 本日より,蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しております。ぜひ手に取ってご覧くださいね!
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2019年9月26日木曜日

My Recommendations No.140「20字に削ぎ落とせ ワンビッグメッセージで相手を動かす」

 附属図書館副館長 吉本勝彦先生(分子薬理学分野教授)より,My Recommendationsコーナーに下記図書をおすすめいただきました。吉本先生,いつもありがとうございます。

『20字に削ぎ落とせ ワンビッグメッセージで相手を動かす』
(リップシャッツ信元夏代 /朝日新聞出版)

それでは早速,お寄せいただいた書評をご紹介します。

「やめられない、とまらない! かっぱえびせん」(18字/カルビー)、「セブン-イレブン いい気分」(11字/セブン-イレブン)など、誰でも耳にしたことがあるキャッチコピーは、ほとんどが20字以下で表現されている。
伝わりやすくするには、以下の点が重要だ。1. 言いたいことをOne Big Messageに絞り込む、人間は15字から20字程度のフレーズ(英語では10語)が覚えやすい。 2. 聞き手視点で話す。 3. 簡単・簡潔・簡明に話す (Keep It Simple, Specific)。4. 明るい未来像を、聞き手の頭と心に描かせる。5. 失敗談こそ語れ、など。さらに「スピーチの印象は7秒、面白さは30秒で判断される(印象を強めるにはチャンスは2回しかない)」や「録画して練習するとプレゼンは劇的に飛躍する」との意見が印象に残る。
スピーチやプレゼンは「最終的に相手を動かして、なんぼ」の考えに全く同感だ。このように伝え方一つでその後の展開は大きく変わる。プレゼンに悩む学生・教職員のための必読書として勧めたい。



 現在,蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しております。ぜひ手に取ってご覧くださいね!
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2019年9月20日金曜日

台風17号の接近に伴う臨時休館等の可能性について

台風17号が,9月21日(土)から23日(月)にかけて西日本にかなり接近し上陸する恐れがあり,徳島市内も暴風雨等の影響を受ける可能性があります。

これに伴い,臨時に休館あるいは開館時間の変更をする場合がありますので,ご了承ください。

なお,当日の開館状況は下記までお問合せください。
※臨時休館の場合は,電話に出ることができない場合があります。また,本館の9月22日(日)と23日(月)は始めから休館日です。

[本館]利用支援係
    TEL:088-656-9696(常三島地区内線6143)
[分館]蔵本利用支援係
    TEL:088-633-9643(蔵本地区内線6517)

2019年9月12日木曜日

今月のいずみ号(2019年9月)

本日(9/12)は, 徳島市立図書館移動図書館「いずみ号」の巡回日でした。
夏の暑さも落ち着いて,夕方も日が落ちるのが早く感じられるようになってきました。

今月の特集は,「健康,宇宙」です。

9/1~9/30は,「健康増進普及月間」で9月初旬~10月初旬は,「宇宙月間」だそうです。みなさん,ご存じでしたか。


次回は,10月10日(木)午後2時半からです。いずみ号をぜひご利用ください。   KH

2019年9月4日水曜日

My Recommendations No.139「続 ムダな医療」

 附属図書館副館長 吉本勝彦先生(分子薬理学分野教授)より,My Recommendationsコーナーに下記図書をおすすめいただきました。吉本先生,いつもありがとうございます。

『続 ムダな医療』(室井 一辰/日経BP)

それでは早速,お寄せいただいた書評をご紹介します。

「失神したからといって脳のCT検査を漫然と行わない」(p.193)が米国救急学会による提言だ。この提言が含まれている「チュージング・ワイズリー(賢明な選択)」を知っているだろうか。2012年、米国の内科専門医認定機構財団が「価値の低い医療行為を許容すべきではない」と呼びかけたキャンペーンが始まりだ。その後、医学のみならず、歯科、看護、理学療法、作業療法、薬学などの分野にも広がりを見せ、現在では550項目に達している。
「価値に基づく医療」の提供は医療従事者の責務であるが、米国では「無駄な医療行為ばかりを行い、医療行為の生み出す価値に結びつかない医師は給与において低く評価される」という仕組みの導入も検討されているようだ。
賢明な選択が求められる医療関係者のみならず医療を過信しやすい一般の方にもオススメ。



 本日より,蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しております。ぜひ手に取ってご覧くださいね!
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2019年9月3日火曜日

第72回テーマ展示「眼科学」

 蔵本分館では第72回テーマ展示を1階ホールにて行っています。今回は大学病院眼科助教 村尾史子先生に監修いただき,「眼科学」をテーマに関連書籍・雑誌を展示しています。

 眼は視覚を司る感覚器で,脳の出先器官とも言われており、人は体の外から受け取る情報の80%以上を視覚情報から得ています。眼球は奥行き約24ミリメートル・重量約7グラムほどのごく小さな器官でありながら,非常に緻密な構造をしています。
 眼科学は,視覚にかかわる眼球およびその付属器(眼瞼・外眼筋・涙器、視神経など)の構造,機能を研究することで,疾患の予防,治療を行い視機能を維持することを目的とします。角膜,屈折矯正,網膜硝子体,神経眼科,緑内障,眼瞼眼窩,ぶどう膜炎,小児眼科等,様々な専門分野に分かれています。眼科学の歴史的に大きな成果の一つとしては,眼鏡の開発が挙げられますが,近年では眼内レンズの開発,iPS細胞を利用した角膜や網膜の再生医療など,よりよい視機能の維持に向けての研究や治療は目覚ましく発展しています。また,眼には高血圧,糖尿病など,全身疾患に伴う病変が出現することがあり,眼科学はこうした全身疾患の診断,程度や予後の判定にも重要な役割を担っていると言えるでしょう。

皆さんも,この機会に眼科学について学んでみませんか?

 展示期間は10月17日(木)までとなっています。皆さんのご利用,お待ちしております。また,テーマ展示コーナーではご意見やリクエストを募集しています。今後の展示の参考にさせていただきますので,お立ち寄りの際には是非コメントをお寄せくださいね。


今まで行ったテーマ展示の一覧は
http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/siryou/theme/
から見ることができます。
ぜひチェックしてみてください!
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