吉本先生ありがとうございます。
『院長選挙』(久坂部羊/幻冬舎)
それでは早速,お寄せいただいた書評をご紹介します。
本書は、これまでに読んだことがない爆笑必至の医療ユーモア小説だ。国立大学病院の最高峰である天都大学医学部付属病院の次期院長候補の四人の循環器内科教授、消化器外科教授、眼科教授、整形外科教授や彼らを支援する教授や医局員による常軌を逸した中傷合戦が面白い。内科・外科間の権力争い、守備範囲の狭い科は趣味的な科という主張に対してメジャーな科はまやかしの治療が多いという反論や教授たちの強烈な個性が面白く描かれている。例えば、循環器内科教授は「医学部でいちばん偉いのは、何科の教授だと思うかね? 臓器にはヒエラルキーがあり、循環器内科こそがすべての科の頂点に立つのだ」と主張する。一方、院長選挙の投票権を有する看護部長の「医者は我が儘で傲慢で世間知らずの自信過剰な自己チュー人間ばかり」や薬剤部長の「ほんとうのプライドなら謙虚さを伴うが、彼らのプライドは単なるうぬぼれ」との発言は手厳しい。
これまでの大学病院の院長選考は「選考プロセスの透明性が必ずしも確保されていない」「学閥などの内部事情に左右され、医療安全管理の資質・能力などが反映されない恐れがある」といった指摘があり、今後は「開設者(大学学長など)と特別の関係にない者」を含む選考委員会を設置し、「医療安全管理業務の経験」や「当該病院内外での組織管理経験」などを有する人物を病院長に選ぶことになりそうだ。
本日より,蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しております。ぜひ手に取ってご覧くださいね!
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