吉本先生ありがとうございます。
『大学病院の奈落』 (高梨ゆき子 / 講談社)
それでは早速,お寄せいただいた書評をご紹介します。
「リスクの低い簡単な手術だったはずじゃないですか。それなのになぜ、こんなに早くなくなることになったんですか」「手術自体はうまくいきました。なぜこのようになってしまったのか、死亡の原因はわかりません」。親族はそれ以上医師を問い詰めることを諦めた。その後、本件は「腹腔鏡手術後8人死亡 高難度の肝切除 同一医師が執刀 群馬大学病院」と読売新聞によりスクープされた。安全性や有効性が未確立の腹腔鏡手術を受けるという事実が伏せられていたことや肝臓の開腹手術でも5年間で10人が死亡したことが明らかになっている。このように死亡例が積み重なるにもかかわらず、なぜ上司の教授や大学病院は執刀医の暴走を止められなかったのか。その背景として、執刀医の技術の未熟さ、不十分なカルテ記載や死亡症例検討会の未実施、ともに肝胆膵外科を標榜する第一外科・第二外科の争いや旧帝大・群馬大学出身医師の軋轢など病院内の組織体制に問題があったことが明らかにされている。
このように医療安全上の重大な問題が起こったため、大学病院を含む特定機能病院の承認要件見直しが行われ、「医療安全管理責任者の配置」、「事故等の報告の義務化」、「高難度新規医療技術等の導入プロセスの明確化」の適用や「病院長の選任方法と権限の明確化」、「多職種が参画して病院運営について審議する会議の設置」が義務付けされそうだ。
本日より,蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しております。
ぜひ手に取ってご覧くださいね!
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