2017年11月7日火曜日

第59回テーマ展示「糖尿病 2017」

蔵本分館では本日より,第59回テーマ展示を1階ホールにて行っています。
今回は糖尿病臨床・研究開発センター長,松久宗英教授に監修いただき,「糖尿病」をテーマに関連書籍・雑誌を展示しています。

糖尿病は,インスリン作用の不足により慢性的な高血糖を生じ,種々の特徴的な代謝異常を伴う疾患群で,その合併症は,眼・腎臓・血管・神経など全身にくまなく現れて,患者さんの生命予後と生活の質に大きな影響を与えます。

生活習慣病の代表的なものというイメージがありますが,発症には多くの因子が関わっており,診断には注意深い洞察と最新の知見が必要です。

治療においては,個々の患者さんの病態に応じた血糖コントロール目標の見極め,合併症の評価と管理,適切な薬剤選択や併用のあり方など課題が多く,難しさもあります。治療は終生にわたるライフスタイルへの介入が必要であるため,様々な職種が参加するチーム医療で,多方面から患者さんのサポートにあたることが重要とされています。

また近年の研究では,がん,認知症,骨代謝,歯周病との関連など,糖尿病合併症をこれまでにない視点から捉えたデータが蓄積され,新しい病態が次々と明らかになってきています。 
臨床の場でも,DPP-4阻害薬,SGLT2阻害薬など新規治療薬の登場や,CGM,インスリンポンプといった医療機器の利便性向上など,研究の発展に伴い,糖尿病の診断は変遷し,治療は着実に進歩しています。

徳島県は長い間,「糖尿病死亡率全国ワースト1位」が続いた時期があり,県,医師会,大学,関係機関・団体等が一体となって,継続してこの問題に取り組んでいますが,依然として糖尿病有病者が多く,失明や透析に至る患者が多い県と言えます。
医療現場では,糖尿病がメインプロブレムとなる患者さんはもちろんのこと,他疾患で治療中の患者さんで,糖尿病が合併しているケースに接する機会も多いのではないでしょうか。

糖尿病臨床のさまざまな側面について理解を深め,今後の診断と治療のあり方に展望を持つことは,将来,質の高い医療の提供につながることと思います。
本展示では,診療ガイドライン,薬物療法・食事療法に関する図書,最新の研究動向を特集した雑誌などを紹介していますので,ぜひ参考になさってください。
展示期間は12月27日(水)までとなっています。皆さんのご利用,お待ちしております。

今まで行ったテーマ展示の一覧は
http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/siryou/theme/
から見ることができます。
ぜひチェックしてみてください!


sm