2019年4月22日月曜日

My Recommendations No.127「生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場」

 附属図書館副館長 吉本勝彦先生(分子薬理学分野教授)より,My Recommendationsコーナーに下記図書をおすすめいただきました。吉本先生,いつもありがとうございます。

『生命科学クライシス―新薬開発の危ない現場』(リチャード・ハリス/白揚社)

それでは早速,お寄せいただいた書評をご紹介します。

独創的とおぼしき53件の研究を選んで追試したところ、結果を再現できたのは6件しかなかった (Nature 483:531–533, 2012)。さらに防ぎうる間違いがあまりにも多いのみならず、放置され数多く引用されていると言う。本書では再現性欠如の原因解析とともに、再現性問題の解決に向けた提案が以下に示されている。
1. 細胞株を検証する(誤認細胞株ではないか?)、2. 抗体の実験で適切な対照を置く(市販の抗体の4割に不備がある)、3. マウスの実験で適切な動物数を選択する(実験で用いる動物の数の決め方について説明している論文はほとんどない)、4. どんな仮説を試そうとしているのか実験に先立って決定すること(まず実験を行い、そのデータに合うように仮説を事後に立てていないか?)。これらの点を肝に銘じて実験に取り組む必要性を思い知らされる。また 「再現性の問題は科学者の訓練法から始まる」とのことから、生物医学教育の「場あたり的でない抜本的な立て直し」に取り組む必要に迫られている。


 本日より,蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しております。ぜひ手に取ってご覧くださいね!
F