依岡隆児先生(社会産業理工学研究部社会総合科学域 国際教養系教授)より,My Recommendationsコーナーに下記図書をおすすめいただきました。依岡先生,ありがとうございます。
『人間にとって教養とはなにか』
(橋爪大三郎/SB新書)それでは,お寄せいただいた書評をご紹介します。
著名な社会学者である筆者が、この本ではコロナ禍のなかZoomを使った「語り下ろし」を試みています。ネットを使った編集者たちとの協働作業となっているため、対話形式ではないが、紙の向こうには対話の相手がいる。おかげで、堅苦しくならず親しみやすい言葉づかいで書かれています。教養がある人は、「ラジオ局で言えば、AM放送のほかにFM放送のチャンネルをもっているようなもの」とか、おしゃれと教養は似ている、本当におしゃれな人は流行に振り回されないといった調子です。
「教養のある人」だけが得られることは「思いこみ」から自由になることだと述べています。また「本はすべての学びの基本」であり、ひとつながりの人間の叡智に触れられるようにするとも言います。読むのが苦手な人には速く読まなくていい、実用書から読もうと呼びかけつつも、古典と出会いオリジナルに触れてみることの重要性を説き、紙の本が基本であるとはしながらも、SNS活用法も指南してくれる。
教養なんて意味がない、古臭いと思っている人も、本書を読むと教養の本当の意味に気づかされることでしょう。大学で学び始めたばかりの皆さんにおすすめです。
本日(6/15)より,蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しております。ぜひ手に取ってご覧ください。 KH