『つむじまがりの神経科学講義』 (小倉 明彦/晶文社 )
お寄せいただいた書評をご紹介します。
記憶の専門家が、第1章「神経系とは何か」、第2章「記憶のしくみ」、第3章「記憶の異常」についてユーモアを交えて解説している。
第2章では、著者の記憶についての研究結果を含む最先端の知見を紹介している。
第3章では、認知症予防の項目があり、脳サプリや脳トレを厳しく批判している。特に脳トレはたくさんの検証論文が発表されており無効とのことだ。一方、運動だけは有効というのは実証済みとのこと。加えて223ページの※10の註釈は的を射ている。超記憶能力を示すサヴァン症候群の項も興味深い。著者自身も10代の頃、映像記憶能力の持ち主だったそうだ。
また、各項目の最後にコラムが散りばめられており、いずれも本音が語られている。特に「講義」、「棒暗記」、「試験」、「ピペットマン」については同感だ。