2020年7月30日木曜日

My Recommendations No.147 「つむじまがりの神経科学講義」

 徳島大学名誉教授吉本先生より,My Recommendationsコーナーに下記図書をおすすめいただきました。吉本先生,いつもありがとうございます。

 『つむじまがりの神経科学講義』 (小倉 明彦/晶文社 )

お寄せいただいた書評をご紹介します。


記憶の専門家が、第1章「神経系とは何か」、第2章「記憶のしくみ」、第3章「記憶の異常」についてユーモアを交えて解説している。
1章では、「神経細胞は増える」としばしば報道されているが、まだ論争中の問題とのことだ。また抗がん剤であるビンクリスチンにより指の感覚が障害され不便であることを自例で示している。
2章では、著者の記憶についての研究結果を含む最先端の知見を紹介している。
3章では、認知症予防の項目があり、脳サプリや脳トレを厳しく批判している。特に脳トレはたくさんの検証論文が発表されており無効とのことだ。一方、運動だけは有効というのは実証済みとのこと。加えて223ページの10の註釈は的を射ている。超記憶能力を示すサヴァン症候群の項も興味深い。著者自身も10代の頃、映像記憶能力の持ち主だったそうだ。
また、各項目の最後にコラムが散りばめられており、いずれも本音が語られている。特に「講義」、「棒暗記」、「試験」、「ピペットマン」については同感だ。

本日(7/30)より,蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しています。ぜひ手に取ってご覧ください。                                                                  KH