2018年11月1日木曜日

第66回テーマ展示「創薬」

 蔵本分館では第66回テーマ展示を1階ホールにて行っています。今回は機能分子合成薬学分野教授 大髙 章先生に監修いただき,「創薬」をテーマに関連書籍・雑誌を展示しています。

 創薬とは,文字通り「薬を創る」という意味ですが,新薬が誕生し世に出るまで道のりは長く険しいものです。

 新薬の研究は,まず疾病を引き起こすメカニズムを調べることに始まります。疾病の原因となる生体分子を特定し,更にその分子が疾病治療の鍵となり得るかを検証したうえで,有機化学,物理化学,生物化学,薬物動態学などの様々な分野からのアプローチで治療に有効と思われる新薬のタネを探索し,研究を進めていきます。現在ではコンピューターを用いた化学構造設計やゲノム研究,バイオテクノロジー技術などが用いられています。こうした基礎研究を過程を経て新薬となり得る物質を特定した後は,候補物質の詳細な有効性や安全性,体内での動きを動物実験(非臨床試験)で精査します。これをクリアすることで初めて治験(臨床試験)が開始され,医療上の有効性,有用性及び安全性が確認されるのです。そして薬事・食品衛生審議会(厚労大臣諮問機関)で厳密な審査を受け,厚生労働省の承認を経て初めて新薬は患者さんの元へ届く医薬品となります。

 研究・開発に費やす時間は10年以上,また,基礎研究で生み出される新規物質のうち,新薬として世に出るのはその2万分の1~3万分の1と言われています。このように,創薬の過程には膨大な時間と途方も無い労力が求められますが,同時に,人類の健康において大きな進歩をもたらす研究であると言えるでしょう。
 皆さんも創薬について,この機会に学んでみませんか?


 展示期間は12月20日(木)までとなっています。皆さんのご利用,お待ちしております。

今まで行ったテーマ展示の一覧は
http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/siryou/theme/
から見ることができます。
ぜひチェックしてみてください!

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