徳島大学医学部臨床教授・美波病院院長 本田 壮一 先生より、My Recommendationsコーナーに下記の図書をおすすめいただきました。
本田先生、ありがとうございます。
「七帝柔道記II 立てる我が部ぞ力あり」 増田 俊也 (著) 角川書店 (2024/3/18)
それでは、お寄せいただいた書評をご紹介します。
嘉納治五郎(1860~1938)が始めた「精力善用・自他共栄」を理念とする講道館柔道は、オリンピックや西医体・全医体などの競技となっている。 かつての第49回全医体(2015年)にて、徳島大学柔道部はサッカー部とともに優勝した(蜂須賀桜の記念樹が体育館の南側に並んでいる)。
一方、北大・東北大・東大・名大・京大・阪大・九大の7校(旧帝大)で15人対15人の寝技が中心の「七帝柔道」団体戦が年一回戦われる。 井上靖が小説「北の海」で描いた「練習量がすべてを決定する」高専柔道の流れを引き継いでいる。
北海道大学に入学し柔道部に入部した著者(増田俊也)の自伝的小説が「七帝柔道記」(2013年)だが、その続巻として24年に刊行された。 「立てる我が部ぞ力あり」は北大柔道部東征歌の最後の一節で、勝利した時に歌うという。 前巻では、佐田政隆教授(循環器内科、当時は東京大学医学部6年)や和泉唯信教授(脳神経内科、当時は北海道大学の主将)が活躍し、北大が阪大に敗れ、和泉主将の「思いはのう、生き物なんで。思いがあるかぎり必ずつながっていくんじゃ。」 という言葉が印象的であった。
第二巻では、さらに極限の練習が繰り広げられる。 スポーツには外傷がつきものだが、増田も手術を受け、リハビリテーションに励む。 そして、かつて「札幌には観光旅行に来た」と侮蔑された東北大学に代表戦三度を引き分け、抽せんで勝利した。 その間も、北大卒業後に徳島大学医学科へ再入学した和泉前主将のアドバイスがあったという。
巻末の北大を4年で中退する増田を温かく見守る学務係の職員に好感を持った。 長編小説だが、第二巻も手に汗を握る熱い物語であった。 その後、佐田・和泉両先生は、徳島大学の臨床分野を主催。 真摯に動脈硬化や神経難病に取り組まれている。 私は、直接、東大や北大の柔道部の頃の思い出をお話しいただくことがある。
80周年を越えた母校・徳島大学医学部に、学問とともに柔道などスポーツでの活躍も期待している。 いつも変わらぬ熱い大学生の姿がこの書にある。 是非、ご一読を。
注:2024年7月6・7日に。 愛知県武道館で開催された第73回全国七大学柔道優勝大会では、北海道大学が優勝したという(⇒https://nanadaijudo73.wixsite.com/website)。
本日(9/6)より、蔵本分館1階ホール、My Recommendationsコーナーに展示しております。ぜひ手に取ってご覧ください。
YB