それでは,いただいた書評と併せてご紹介いたします。
『邪悪なものの鎮め方』
(内田樹 / 文春文庫)
人間は、時として答えのない世界で生きています。むしろその方が多いのかもしれません。今回ご紹介する本が言う「邪悪なもの」とは、決して悪魔だとか幽霊だとかが跳梁跋扈している様なスピリチュアルなことを指しているのではなく、「答えのないどうしていいかわからない」という状況を指し、その状況に対面した時に,正しい選択(直感を働かせる)をするにはどう振る舞えば良いか、についての示唆を与えてくれています。
本書の中で、「日本人はなぜ学ぶ意欲を失ったのか」という問いに対し、筆者はこう答えています。
『知性のパフォーマンスが爆発的に向上するのは、「その有用性が理解できないものについて、これまで誰も気づかなかった、それが蔵している潜在的な有用性」を見出そうとして作動するときなのである。自分が何を探しているのか分からないときに自分が要るものを探し当てる能力、それが知的パフォーマンスの最高の様態である。』何の役に立つか、“今は”分からないが、何となく学ぶ必要性がある気がする、というセンサーを研ぎ澄ませていくことが “学ぶ” 姿勢の根源であり、「どうしていいか分からないもの」に直面した時の適切なふるまい方に活かされるようです。
本日より,蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しております。
ぜひ手に取ってご覧くださいね!
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