2018年10月2日火曜日

My Recommendations No.118「サリン事件死刑囚 中川智正との対話」

 附属図書館長 吉本勝彦先生(分子薬理学分野教授)より,My Recommendationsコーナーに下記図書をおすすめいただきました。吉本先生,ありがとうございます。

『サリン事件死刑囚 中川智正との対話』(アンソニー・トゥー/角川書店)

それでは早速,お寄せいただいた書評をご紹介します。

オウム真理教の幹部13人の死刑が本年7月に執行された。そのうちの一人である元医師の中川智正死刑囚とヘビ毒の世界的権威であるアンソニー・トゥー博士との拘置所における計15回の面会と文通による交流内容が描かれている。著者は「オウムがどのようにして化学、生物兵器のプログラムを作ったか」を調べるために2011年から中川死刑囚と交流を重ねた。オウムはボツリヌス菌・炭疽菌などの生物兵器開発は失敗したが、専門家でもない集団にもかかわらず猛毒のサリンやVXガスを製造することに成功したのだ。また、中川死刑囚は金正男氏殺害事件に関して自らの経験から毒物の正体をいち早くVXと見抜いた。オウムの起こした坂本弁護士一家殺害事件(1989年)、松本サリン事件(1994年)、地下鉄サリン事件(1995年)などを知らない学生のみならず、教職員にも世界を震撼させた無差別テロ事件の実情を知り次世代に語り継いでほしい。


 本日より蔵本分館1階ホール My Recommendationsコーナーに展示しています。ぜひお手に取ってご覧くださいね!
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