2021年1月21日木曜日

My Recommendations No.149 「新型コロナ 7つの謎 最新免疫学からわかった病原体の正体」

 徳島大学名誉教授 吉本勝彦先生より,My Recommendationsコーナーに下記図書をおすすめいただきました。吉本先生,いつもありがとうございます。 


『新型コロナ 7つの謎 最新免疫学からわかった病原体の正体』 

(宮坂昌之/講談社)

 

それでは,お寄せいただいた書評をご紹介します。 

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の変異株が話題になっている。SARS-CoV-2が細胞表面の受容体(ACE2)への結合時に働く「スパイク蛋白」に変異が検出されており、これらの変異株は従来の流行株より感染性が4070%増加すると推定されている。

本書では上記のようなウイルス自体の特徴よりも、感染した人における免疫反応を主に解説している。I型インターフェロンが適切に産生され、正常な免疫反応が働いてウイルスを排除した場合は軽症で済む。一方インターフェロン産生不良が引き金となると、様々な炎症性サイトカインが過剰に産生され多臓器不全を惹起するという。

「自然免疫」、「獲得免疫」、「訓練免疫」や「免疫力の強さの測定の難しさ」についてもわかりやすく説明しており、新型コロナウイルス感染症のみならず一般的な免疫学を学ぶ上でも有用な書である。



本日(1/21)より,蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しています。ぜひ手に取ってご覧ください。                  KH