それでは,いただいた書評と併せてご紹介いたします。
『孤愁』(新田次郎,藤原正彦/文藝春秋)
徳島で生まれ徳島大学に進学した皆さんも県外から徳島大学に進学した皆さんも将来は徳島ゆかりの人として自分の歴史を作っていくと思う。ポルトガルで生まれ,神戸で外交官として働いてきたモラエスは今から100年以上前に徳島の地に降り,その後15年間も徳島に居留して数々の著作を国内外で発表し75年の生涯を終えた。新田次郎はモラエスの生涯を書き始めたが脱稿をみることが無く他界された。その後新田の次男藤原正彦が父の意志をついで書き終えたのが本書孤愁で,2012年に刊行された。
現在の徳島市伊賀町にモラエスの旧居はあった。そこから新町小学校に向かう道がモラエス通りで,新町小学校正門の横と眉山頂上にモラエスの銅像が立っている。阿波踊り会館の前には花で彩られたモラエスのモニュメントがある。モラエスは阿波踊り会館横の潮音寺に愛したふたりの徳島の女性とともに眠っている。徳島を愛したモラエスがどのようにして生きてきたか,徳島の歴史と風俗を知る上でも貴重の書である。90年前に幼少期の瀬戸内寂聴がモラエスに会ったとの記述が寂聴の散文にいくつか見られ,興味がある。
一度本書を手に取って読み,天気の良い日にモラエスが散策した道を歩いてみるのも乙なものである。
本日より,蔵本分館1階ホール,My Recommendationsコーナーに展示しております。
ぜひ手に取ってご覧くださいね!
F