『科学立国の危機: 失速する日本の研究力』
(豊田 長康/ 東洋経済新報社)
それでは早速,お寄せいただいた書評をご紹介します。
日本の学術論文数が世界諸国に比べて極端に低迷している。本書は、日本の研究力が低下してきた原因を種々のデータに基づいて解析し、研究力が復活するための対応を提案している。多くの先進国において論文数が増えたメカニズムは「政府からの大学研究資金 → 研究人件費 → 研究従事者数 → 論文数」である事がわかった。すなわち「人件費以外の研究費」の増額とともに研究従事者数(研究人件費)を増やすことが特効薬となるのだ。また、ドイツ、米国などの大学間格差(富士山の傾斜)に比して日本の極端に急峻な格差(東京タワーの傾斜;「国立大の1人あたり交付金、12倍の格差」日本経済新聞、2018年11月8日)を改善すべきにも関わらず、さらに「選択と集中」を進める政策が進行中だ。この政策決定の基盤となったデータは、適切な分析に基づくものか監視する必要が強調されている。研究者のみならず将来を担う学生にも一読を勧める。
本日より蔵本分館1階ホール My Recommendationsコーナーに展示しています。ぜひお手に取ってご覧くださいね!
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