蔵本分館では第64回テーマ展示を1階ホールにて行っています。今回は脳神経外科学分野教授 髙木康志先生に監修いただき,「脳血管障害」をテーマに関連書籍・雑誌を展示しています。
脳血管障害とは,脳の血管が破けたり詰まったりすることによって神経細胞に栄養が届かなくなり,脳の働きに障害が起きる疾患の総称です。広く一般には「脳卒中」と呼ばれており,その原因によって「脳の血管が詰まるタイプ(脳梗塞,一過性脳虚血発作)」と「脳の血管が破れるタイプ(脳出血,くも膜下出血)」の大きく2つに分けられます。いずれも突然発作が起こり,障害が起こった場所によって半身マヒや言語障害,物が2つに見えたりふらついて手足が上手く動かなくなったりと様々な症状が現れるほか,重篤な場合には意識障害に陥ることもあります。
脳血管障害の症状は,初めは軽くても,1~2時間のうちにどんどん悪化する可能性があります。そのため,発作が起こった場合には周囲の人間が適切な応急処置を行ったうえでかかりつけの医師や救急車を呼び,迅速に治療を開始することが不可欠です。
医療技術の発達やいわゆる「予防的治療」の進歩によって,脳血管障害による死亡者数は近年減少しています(※1)が,患者数は依然として多く,高齢者の寝たきりの原因の第1位を占める疾患で,日本人の健康において重大な問題であることに変わりありません。脳血管障害を未然に防ぐにはまず高血圧や糖尿病をはじめとする脳血管障害の危険(リスク)因子の治療に努め,また,食生活など生活習慣の改善を心がけたうえで,前ぶれ症状にいち早く気付いて対処することが大切です。
三大疾病として耳にすることも多い脳血管障害(脳卒中)について,この機に理解を深めてみませんか?
展示期間は9月6日(木)までとなっています。皆さんのご利用,お待ちしております。また,テーマ展示コーナーではご意見やリクエストを募集しています。今後の展示の参考にさせていただきますので,お立ち寄りの際には是非コメントをお寄せくださいね。
今回もiPadでは,テーマにちなんだアプリをご紹介しています。
①Brain Attack質問項目にYes/Noで回答することで患者さんの血栓溶解療法(t-PA治療)への適性チェックを行えるほか,脳卒中重症度評価スケールを用いて症状の重さを判断し,結果をテキスト形式で出力することも出来るアプリ。
②ハートリズムカメラで脈拍をグラフに記録し,脳梗塞の発症リスクを調べられるアプリ。心原性脳塞栓症の主な原因である心房細動をいち早く発見することに役立ちます。脳梗塞のメカニズムについて学べる機能もあり。
②脳血管3Dアトラス脳血管から派生する全身の主要な血管を見られるアプリ。画面を保存することも出来ます。
③3D Brain脳を29の構造部位に分類し,立体的に表示するアプリ。タッチして回転やズームを行い視覚的に学習できるほか,各部位に関する解説も見ることが出来ます。
テーマ展示コーナーのiPadでお試しいただけますので,気軽に触ってみてくださいね
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※1)
1997(平成9) 138,697人 2007(平成19)126,940人 2017(平成29)109,844人
参考:『人口動態統計月報年計(概数)の概況』厚生労働省
今まで行ったテーマ展示の一覧は
http://www.lib.tokushima-u.ac.jp/siryou/theme/から見ることができます。
ぜひチェックしてみてください!
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